尊い「いのち」に関わり 自身が成長できる看護職

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公益社団法人 福岡県看護協会 会長 大和 日美子氏

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5月8日から、季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。この3年余に医療従事者、とりわけ「チーム医療の要」と言われる看護師や保健師などの看護職は苦難の連続。看護職は地域包括ケアシステムの中心的役割も果たしており、改めて人材確保が求められています。5月12日は「看護の日」。公益社団法人福岡県看護協会の大和日美子(やまと・ひみこ)会長に伺いました。

コロナの3年をどう克服

――コロナ禍で教育・医療機関の取り組みは?

 新型コロナの感染者が県内で1万5000人を超えた昨年の第7波時には、看護職が感染者や濃厚接触者になるなど「医療崩壊」寸前の状況でした。その中で、勤務編成や配置を変えながら頑張っていただいたことが7・8波を乗り越えた大きな要因でした。

 大学や専門学校では臨地実習の受け入れが難しく、IT技術を使ったシミュレーション学習が広く普及しました。

 看護師国家試験の合格率は約9割とコロナ前と変わりませんが、今年3月に発表された新卒看護職の離職率は全国10.3%と大幅に増加。福岡県も10.4%。それまでは8%台でした。一因として、患者さんと接する機会が減ったことが考えられます。患者さんから生きた情報を得るためにはコミュニケーションが重要です。そこに技術が必要なのですが、コロナで患者さんから直接学ぶ機会が失われました。

――今年度の取り組みは「コロナ前」の状態でしょうか?

 卒後教育の立て直しには今後3年位かかると思います。今の2~4年生は予定の臨地実習があまりできていません。それをどう就職後に克服するか、支援するか。私たちの重要な役割でもあります。
 何の仕事でも最初につまずくと続けたいとは思わないものです。最初のつまずきをいかに少なくするかが大事だと思っています。

看護管理者に横のつながり

――県看護協会がこの3年間に力を入れた取り組みは?

 県の委託で取り組んだ感染管理リーダー看護師育成研修は2年続け、計800人育成しました。もう一つは症状別・段階別の研修。重症、軽症・中等症(一般病棟・入院待機施設、自宅療養)のコロナ患者に対応する看護職教育に取り組みました。

 ECMO(エクモ)センターを有する医療機関におかれては、重症患者対応の研修の実習を快く受け入れていただきました。

――今年度以降に力を入れていく取り組みは?

 看護管理者の横のつながり、連携の強化です。新型コロナにより、施設の看護部代表である看護管理者は、組織の維持、看護職員の調整と支援に翻弄されました。

 今年3月、県内の看護管理者が集まり、初めて交流会を開催。約50人の参加があり、この3年間の苦労や困った事などについて、活発な意見交換ができました。

 今年度は2回開催予定ですが、看護管理者が結びつくことで、必ず県内の医療提供の向上へとつながっていくはずです。

「四つの力」身につけ成長を

――大和様のこれまでの歩みについて教えてください。

 長崎県の高校を卒業後、看護専門学校に通って看護師の資格を取得。結婚して出産し、半年で職場復帰。管理職になる35歳まで夜勤をしました。夜勤明けで子供を保育園に迎えに行くなどつらいことも多かったですが、勤務の合間に地域のバレーボールチームの練習に通うなど適度に息抜きしたおかげで仕事を続けられたのかもしれません。北九州市立医療センターなどを経て市立看護専門学校長を勤め、2019年6月、県看護協会長に就任しました。

――看護の仕事で一番大切にしている信条は?

 初めて配属された小児病棟で基礎を学びました。患者さんを観察する力、看護技術を提供する力、患者さんや家族と話す力、そして学び続ける力。医療も看護も日々変化・発展しますので、学び続ける力は非常に重要で、専門外の分野も学ぶ姿勢が大事です。

 また、病院では様々な委員会や企画、学会の手伝いなどの役割が舞い込んで来ました。子育てや親の介護も大変でしたが、“頼まれたら断らない”と決めていました。私を見込んで頼んでこられたのが前提にあり、役割をこなすことによって自分が成長できると思ったからです。

――看護師として思い出深いエピソードを教えてください。

 小児病棟のクリスマス会では、看護師みんなでケーキを焼きました。焼き方を習って家のオーブンでスポンジケーキを1人当たり2~3個ほど焼いて持ち寄り、入院中の子供たちに飾りつけをしてもらいました。腎臓病や糖尿病など長期入院の患児がたくさんいましたが、その時の子ども達の笑顔が非常に印象的です。それを機に、家庭でもケーキを焼くようになりましたし、今も忘れられない思い出となっています。

特色ある学び多い看護系大学

――看護系の4年制大学が増えています。大学で学ぶメリットは?

 4年制大学はしっかり組まれたカリキュラムで学べます。教授陣には優秀な方々が揃っています。

 近年は特色を出した教育が目立っています。例えば、グローバルな視点を育むための海外交流・研修や口腔医学等の医学系科目を学べる大学があります。他にもシミュレーション教育センターに力を入れている大学などもありますし、チーム医療を学ぶために、医学科、理学・作業療法士学科などと共同でカリキュラムを組む大学もあります。

コロナで注目の保健師は雇用増

――看護職の職種とキャリアアップの道を教えてください。

 看護職は、保健師と助産師、看護師、准看護師の4職種の総称です。

 看護系大学や短期大学・専門学校(3年)を卒業すると、看護師国家試験の受験資格が得られます。さらに勉強すると保健師と助産師の受験資格も得られます。

 コロナで注目された保健師は普段、病気の予防や健康維持・増進に取り組むことなどが主な仕事。コロナでは、在宅療養の支援や入院調整で活躍しました。これを契機に、全国で増やそうとしています。医療の高度化や専門化に伴って、「がん看護」「在宅看護」などの専門看護師、「救急看護」「感染管理」などの認定看護師、あるいは認定看護管理者になってマネジメントをするなど制度も整っています。

――看護職をめざす若い人に向けてメッセージを。

 コロナを通して、看護職は人の命に関わる尊い職業だと改めて思っています。「あなたがいてくれて良かった」「おかげで助かった」と言っていただけるのです。その職業に就ける可能性は皆さんが等しく持っています。自分が成長できて、社会の中で生きていることを実感できる看護職をぜひ目指してください。



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福岡県看護協会
では、2023年度の「看護の日」に合わせた特設ページを公開しています。看護体験動画のほか、看護職がどのような仕事なのかをわかりやすく紹介しています。ぜひご覧ください。




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