「厄介者」は沈めて解決! 軽石漂着問題で福工大の准教授らが新発想の処理法を考案

 小笠原諸島の海底火山が噴火した影響で、沖縄県などの海岸周辺に大量の軽石が流れ着き、地元の漁業や観光に大きな被害が生じています。迅速かつ継続的な対応が求められる中、福岡工業大学(福岡市東区)の准教授ら2人が、問題解決の一助となる「新たな処理法」を考案しました。どのような方法なのか、話を聞いてみました。

雑談から生まれた新手法

 軽石の処理法を発表したのは、福工大生命環境化学科・久保研究室の久保裕也准教授と下條光浩講師です。ニュースで沖縄の軽石問題を知り、何かいいアイデアはないかと2人でやり取りする中で、今回の方法に至ったそうです。


久保裕也准教授(右)と下條光浩講師(左)

 研究室では主に「金属精錬」「廃棄物リサイクル」に取り組み、地球にやさしく、かつコストを抑えられる資源の抽出法を探ってきました。特に「砕く」こと、「重さで分ける」ことに注目しており、今回の処理法もこの2点がポイントになっています。


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「減圧」で軽石を重く!

 大量に漂着している軽石は、海面に「浮いている」のが問題。軽石は本来、海水より比重が重いのですが問題になっている軽石はマグマが凝縮し、体積が収縮する過程で内部に微細な気体を含んでいます。

 久保研究室が行き着いたのは、この軽石を減圧器に入れて真空状態をつくり、内部の気体を抜く方法です。処理後は、水が浸入する経路ができ、水を含んだ軽石は海中に沈みます。


減圧による軽石処理のイメージ(提供:福工大・久保研究室)

 減圧にかける時間は約5分で、さらに5分ほど水に浸し、大気圧に戻します。軽石を直径2ミリ前後に砕いて試すと、70~80%が沈下したといいます。


 気体を抜いて海水を浸入させた軽石は、内部に微細な気泡が残っていても、沈むほどに水圧がかかるため、再び浮かんでくることはないそうです。

海で出たなら海に返そう

 回収した軽石を陸上で再利用する場合、軽石に含まれる塩分の除去が必要になります。そのままでは土壌の塩害につながり、セメントに利用すると建材の腐食を引き起こす可能性があるためです。今後も軽石の漂着が続くと、輸送や洗浄処理にかかる労力やコストも膨大なものになります。


沖縄の海岸に流れ着いた軽石

 今回の方法では、減圧処理した軽石を外洋に"戻す"ので、処理コストを抑えることが期待できます。実現の際は、大型の減圧容器を備えた船で海上処理し、海洋生物に悪影響を与えない海底に投棄する流れを想定しています。一連の研究で得られた成果については特許を出願し、沖縄県にアイデア提供を行っているとのことです。

 研究を進めてきた久保准教授は「現在の処理法とバランスを取りながら、減圧処理が役に立てばと期待しています。沖縄のみなさんの暮らしが、できるだけ早く元に戻ることを願っています」と話しています。


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