飲食店の連携体をつくりたい 北九州の店主がクラウドファンディング

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言により、休業を余儀なくされる店舗が増えています。店を休むと資金繰りが悪化し、体力がない小規模店には廃業の危機が迫ります。「飲食店が支え合う緩やかな協同組合をつくれないだろうか」。ピンチに直面しつつも、未来に向けた"種まき"を始めた店主がいます。北九州市小倉北区の飲食店「café causa(カフェ カウサ)」のオーナー・遠矢弘毅さんに聞きました。


遠矢弘毅さん

1967年生まれ。鹿児島県出身。北九州市立大学への進学を機に北九州へ。リクルート勤務などを経て、2010年にインキュベーションカフェ「café causa」を創業。エリアマネジメント会社「北九州家守舎」代表取締役。ホステル&ダイニング「タンガテーブル」取締役。テレビ西日本「福岡NEWSファイルCUBE」コメンテーター。


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新型コロナで弱さを痛感

――新型コロナウイルスの影響は?

 単純に、怖いなと思いました。これまでの常識が簡単に覆ってしまった。飲食店は人が集うことを前提に成り立っていました。それが全否定されてしまった。4月7日に緊急事態宣言が発令され、店の休業を決めました。

――売り上げがゼロになります。

 個人経営、中小零細の弱さを痛感しています。私たちのような小規模店は、日々の売り上げがないと数か月ですら踏ん張れない店ばかり。自転車操業で、内部留保なんてほとんどない店も多い。店を開けないと廃業になってしまうから、泣く泣く開店している店も多いと聞きます。

――北九州市が緊急経済支援策を発表しました。

 家賃補助はとても助かります。宅配サービスの支援も、飲食店にとっては魅力的だと思っています。


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新たな「連携」をつくりたい


――クラウドファンディングを始めました。

 CAMPFIREで呼びかけています。現状、店を再開させる時期は全く見通せません。それまでは家賃などの運転資金が必要です。クラウドファンディングの支援金は、経営資金に充てます。プロジェクトのリターンは、再開後の食事券がメインです。

――クラウドファンディングで「新しい連携体(協同組合)を創出したい」と掲げています。

 新型コロナの影響下、小規模店の立場の弱さを痛感しました。だから、「狭いエリアで、飲食店の緩やかな協同組合をつくれないだろうか」と考えています。

 例えば、食材の仕入れや日々のごみ出し、販売促進の広告、イベントなど。連携することで経費を削減できる部分は多いです。

 ただ、経費削減のためだけの連携では意味がないと思っています。

――具体的には?

 カウサの隣にはバーが営業しています。まずはお隣同士、従業員を融通し合えないか、話し合っています。飲食店には各店が育んできた「世界観」があります。互いの店を体験することで、従業員に新たな気づきが生まれることを期待しています。

 従業員にとどまらず、私を含むオーナーも交換してみたいです。やろうとしている連携は、経費削減だけを目的にしたくはありません。新型コロナを体験し、銭勘定を超えた「心のつながり」の大切さを感じています。小規模店であっても、しなやかに生き残れる強さを協同組合を通じて醸成したいです。


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連携の北九州モデルを


店内に飾られているイラストレーター・黒田征太郎さんの作品

――店内にはイラストレーター・黒田征太郎さんの絵が飾られ、ウーマンラッシュアワー・村本大輔さんもよくここで話芸を披露しています。遠矢さんは「コミュニティーの場」としての店づくりを意識してきました。

 実は、数か月前にカウサを売却しようと思っていました。仕事が増え、自分が一番大切にしているカウサを手放してリスタートするつもりでした。

 売却話が立ち消えになった直後に、この新型コロナです。「もう一度、この店からコミュニティーを醸成しなさい」と言われている気がします。この危機を教訓にしないといけない。北九州モデルの小規模飲食店のコミュニティー(協同組合)をつくり、発信していきたい。これまでの常識にとらわれず、新たな発想で難局を切り抜けていきたいですね。


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