福岡市動物園を絵で応援 春日市出身の画家がクラウドファンディング

羽根の標本アートを手にする北村さん

 福岡県春日市出身の画家北村直登さん(43)(大分市)が、描き下ろしの絵画などを提供し、新型コロナウイルス禍で減収にあえぐ福岡市動物園を応援するクラウドファンディング(CF)を始めた。これまでに全国から120人を超える支援が寄せられており、園関係者も「善意に応えられるよう、魅力向上に努めたい」と意気込む。

 北村さんは大分市内の大学を卒業後、生活費を稼ぐため路上で絵を売り始めた。豊かな色彩と力強いタッチの作品が評判となり、各地で個展を開くように。2014年放送のフジテレビ系の連続ドラマで、登場人物の画家が描く絵を提供したことで話題になった。

 16年度からは福岡市動物園の広報活動に協力。幼少期にも遠足で園を訪れていたといい、ポスター制作や絵本作りのワークショップの講師などを務めてきた。

 そうした中でコロナ禍に見舞われ、長期の臨時休園を余儀なくされた園は昨年度、年間来園者が54年ぶりに60万人を割り込むなど苦境が続いている。その一方で、支出は動物たちの餌代だけで年間6000万円に上る。そんな状況を知った北村さんから「市民に愛されている動物園に、少しでも恩返しがしたい」と園にCFを提案したという。

返礼品にオリジナルグッズ

 CFは1口3000円からで、返礼品には描き下ろしの絵画や動物の絵をあしらったトートバッグなど今回しか手に入らないものを用意。1点ものの絵画など受け付けが終了したものもあるが、「動物園の夜の音」を収録したサイン入りレコード盤や羽根の標本アートなどユニークなものもあり、これまでに140万円以上の支援が集まった。「動物たちの幸せのために応援します」「家族で行ってみたい」といったメーセージも寄せられている。

 CFは9月20日午後6時までで、支援額から経費を差し引いた利益の半額が園に寄付される。園の広報担当者は「大変ありがたい申し出」と感謝しきりで、北村さんは「福岡市動物園に興味を持ち、足を運んでくれる人が増えたらうれしい」と話している。


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