巌流島で「格闘」撮影ツアー 2人1組300万円から

「『伝説のプロレス』なりきり撮影ツアー」のPR動画(ユーチューブより)

 関門海峡に浮かぶ巌流島を「プロレスの聖地」としてアピールしたい――。1987年10月のアントニオ猪木さんとマサ斎藤さん(故人)による「巌流島決戦」を再現できる「『伝説のプロレス』なりきり撮影ツアー」が企画された。関係者は「一生に一度の思い出として、マニアを呼び込みたい」と張り切っている。

一生に一度の思い出に

 巌流島に設けられた本格的なリングで、関門海峡を背景に2人のレスラーが向かい合う。アントニオ猪木さん役の1人が、マサ斎藤さん役の相手にラリアットを見舞う。すかさず斎藤さん役が木刀で反撃する――。

 動画投稿サイト・ユーチューブで公開されている「なりきり撮影ツアー」のPR動画。観光庁の補助金を活用して今年1月に撮影された。


 レスラーとして参加したのは、無料のモニターツアーに応募して選ばれた2人1組。猪木さんを演じた福岡市の自営業、樋口利勝さん(57)は、九州産業大プロレス研究部の前身団体の創立者で、「世紀の戦いを演じることができ、光栄という思いしかない」と話す。

関門海峡の観光団体が企画

 撮影ツアーは、海峡の両岸の観光関係者らが2020年に設立し、北九州市と山口県下関市で一体的な観光振興に取り組む一般社団法人「海峡都市関門DMO」(事務局・北九州市)が企画した。

 ツアーは4~10月の期間限定で、参加者は、北九州市門司区のホテルに2泊3日の日程で宿泊。映画監督らに撮影してもらい、プロレスラーの指導も受けながら、島内に設営される本物のリングに上がって、ファンの間で語り継がれる名勝負を演じることができる。動画は約10分間のDVDに編集される。地元の名店を巡り、フグや地酒を楽しむコースも用意されている。


「巌流島をブランド化したい」と語る厳洞さん


 「巌流島には人を呼ぶ受け皿が必要だ」と同法人代表理事の厳洞(がんどう)秀樹さん(49)は強調する。島には、決闘のエピソードで知られる宮本武蔵と佐々木小次郎の像があるほかは、目立ったものがなく、普段は閑散としているのが実情だという。


ブランド化へ企画続々

 ただ、基本料金は2人1組で300万円(税別)と高額。今春の一般向けの発売以降、問い合わせは1件のみで、販売実績はまだないという。

 同法人ではほかに、武蔵と小次郎になりきって決闘を演じるツアー(2人1組で税別200万円から)を用意。10月には婚活イベントも計3回計画している。

 厳洞さんは「高付加価値のツアーを定着させ、巌流島をブランド化したい。企業CMの撮影やプロレス興行などにもつながればうれしい」と期待を込める。

 ツアーなどの問い合わせは、海峡都市関門DMOへ。


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