JR九州は2月21日、九州新幹線の1車両を使い、座席の間に貨物を載せて運ぶ貨客混載の実証実験を始めた。コロナ禍で落ち込んだ鉄道収入を補うため客室を活用して大量輸送するのが目的で、実証実験を重ねて積み下ろしの課題などを検証し、実用化を目指す。
鹿児島中央―博多で
鹿児島中央駅発の「さくら」(8両編成)の2号車を専用車両として、この日の朝に水揚げされたばかりの初ガツオ540匹などが入った200箱を載せた。臭いや水が漏れるのを防ぐため発泡スチロールの箱に入れ、ビニール袋で覆った。
約1時間半後の午前11時前に博多駅に到着。降車客の横で、JR九州社員らが貨物を運び出し、福岡市内のスーパーに配送した。
JR九州は2021年から新幹線の車内販売で使っていた空きスペースに鮮魚や野菜を載せる貨客混載を始めたが、約30箱が限度だった。古宮洋二社長は「物流業界の運転手不足にも対応できる。即日配送の強みを生かし、新幹線物流を拡大させたい」と述べた。