【鹿児島】コーヒー豆を与論特産に!商品化目指して栽培

 温暖な気候を生かして育てたコーヒー豆を鹿児島県・与論島の新たな特産品にしようと、農家や観光協会が栽培に力を入れている。来年をめどに商品化して与論町内のカフェで飲めるようにするほか、木を購入した人に豆を送る「オーナー制度」の実現を目指している。


コーヒーの実を収穫する原田さん

えぐみのなさに驚き

 同町の農家原田健男さんは500平方メートルの畑で、アラビカ種約200本を無農薬で育てている。知り合いの勧めで10年ほど前から育て始めた。3年目から実がなるようになり、今年は10月から収穫を開始。20キロ程度の収穫を見込んでいる。関心がある地元の人に苗を販売しており、栽培の輪を徐々に広げている。

 原田さんらを後押しするのは、ヨロン島観光協会職員の岡田美保子さん。島の自然に魅了され、9月に大阪府から移住した。

 もともと焙煎(ばいせん)に関する教室を全国各地で開くほどコーヒーへの造詣が深く、昨年は100回の教室を約1000人が受講した。教室で与論島産の豆を使ったコーヒーを振る舞うと、えぐみのなさに驚かれるという。

木のオーナー制度も予定

 課題は収穫量がまだ少ないことだ。生産者は原田さんら5人程度。生産の拡大に向け、最近は収穫体験を試験的に実施しており、今後は苗木のオーナー制度も導入する予定だ。

 商品化して土産品やカフェのメニューになれば、地域の活性化につながることが期待される。原田さんは「天候にも恵まれ、木は順調に育っている。花とサンゴ礁に囲まれながらコーヒーを飲めるようにしたい」と語る。

 岡田さんは「コーヒー豆の価格は世界的に高騰している。国産で無農薬の豆を飲みたいと思う人は多いはず。特産品になれば雇用の創出にもつながる。早期の実現を目指したい」と意気込んでいる。


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