【熊本】南阿蘇鉄道に新型車両 今夏の全面復旧へ弾み

 熊本地震で被災し、一部区間で運休が続く第3セクター・南阿蘇鉄道(熊本県高森町)は1月10日、新型車両2両を高森駅でお披露目した。老朽化に伴う約30年ぶりの更新で、JR豊肥線への乗り入れを想定した仕様となっており、今夏の全面復旧に向けた弾みとなりそうだ。


新しく導入された南阿蘇鉄道の車両

 南阿蘇鉄道は1986年に営業を開始。部品の製造中止などから、約30年ぶりに新車両に更新した。

 新しい車両は「MT-4000形」。車椅子スペースを確保してスロープを常備し、バリアフリーに配慮した。冬や夏に空調効率をあげるため、乗客がボタンを押してドアを開閉する方式で快適性を向上させた。

 JR肥後大津駅までの乗り入れを想定し、走行位置や速度をコンピューターが管理し、速度超過時にブレーキが自動的に作動する最新の運転保安装置を導入した。

 外国人観光客への対応として、車内放送案内は日本語と英語で行う。非常ボタンの案内など言語表示は、中国語、韓国語を加えた4か国語で対応する。

 外装は、白川の青と、阿蘇五岳をイメージした緑線2本を配置。阿蘇の雄大な自然を表現した。

 事業費は2両で計約4億3800万円。訓練運転を経て、全線再開までに営業運行を始める。来年をめどに、同社は新たに2両の新車両導入を検討している。

 草村大成社長(高森町長)は披露式で「30年ぶりの新車両更新に、わくわくしている。多くの人々に親しまれる鉄道として運行していきたい」と話していた。


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