【佐賀】ネクタイにさりげなく 佐賀藩ゆかり「鍋島小紋」
佐賀市唐人のオーダースーツ店「The Maccheroni(マッケローニ)」店主の野田宗寛さん(47)が、旧佐賀藩主・鍋島家ゆかりの柄「鍋島小紋」をあしらったネクタイなどの服飾品を開発し、6月から販売を始めた。10代藩主・直正(1814~71年)が着ていた裃(かみしも)の柄をモチーフにしており、野田さんは「多くの人に伝統ある鍋島小紋に親しんでほしい」と期待を込める。
鍋島小紋は、ゴマの殻の断面と、七つの天体を模した点「七曜」を組み合わせた柄で、佐賀藩専用の裃の柄として、他藩の使用を禁じた。鍋島家の史料を展示する徴古館(佐賀市)には、鍋島小紋が使われた直正の裃が収蔵されている。
福岡県出身の野田さんは、同県久留米市などのオーダースーツ店で11年間修業した。その後、大都市よりも1対1で接客がしやすいと考え、起業を目指す人向けの佐賀市内の研修に参加。2021年にマッケローニを開業した。
郷土に誇りを
修業中、佐賀からの客の多くが「佐賀はなんもなか」と話していたといい、開業後、「佐賀には魅力的な歴史や文化がたくさんある。郷土に誇りを持てるような商品を作りたい」と思い立った。アイデアを考える中で鍋島小紋を知り、「ゴマ殻の部分が花柄のようで、古くささを感じない」と開発を決めたという。
野田さんは、直正の裃の柄を撮影したデータを徴古館から提供してもらい、まずは鍋島小紋をあしらったオーダーシャツを作り、販売を始めた。しかし、店で採寸するため手にできる客が限られ、「もっと幅広く鍋島小紋を身につけてもらいたい」という思いを強めた。
スーツ店が服飾品
今回、新たに開発したのはネクタイ、カフス、サスペンダーの3点。特にネクタイは、鍋島小紋が映えるように生地に使う横糸の色を替えるなど、完成までに1年近くかかったという。佐賀藩の石高(35万7000石)にちなみ、3点を「THE357-000」シリーズと名付けた。
野田さんは「さりげなく鍋島小紋を取り入れた、派手すぎないデザインになった。佐賀の人たちが受け継いできた伝統を次世代につないでいきたい」と話している。
いずれも税込みで、サスペンダーは1万6500円から、ネクタイは1万5400円、カフスは4400円。問い合わせはマッケローニ(050-5375-1398)へ。