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米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が1月に公表した「2024年の行くべき場所ベスト10」に、日本では唯一、「九州」が選出されました。九州観光機構(福岡市)によると、九州が選ばれたのは初めて。その背景を、欧米豪からの誘客に取り組む同機構の担当チームに聞きました。
ホテルや列車への注目
機構によると、WSJは選出を伝える記事で、ザ・リッツ・カールトン福岡(福岡市)や星野リゾートによる「OMO5熊本」(熊本市)など、有名ブランドを含む新ホテルが相次いで開業していることなどを紹介しました。
JR九州が4月から運行する新観光列車「かんぱち・いちろく」にも触れ、アジア客を引きつけてきた九州が(米国人にも)より身近になっている、としています。
同機構の平子至・欧米豪プロモーションセンター長は「アジア大陸と日本の文化がぶつかってきた九州は、まさに『多様性のるつぼ』」と表現。「観光地としての高い魅力を、今後も効果的に発信し、さらなる誘客につなげたい」と意気込みます。
メディアへの露出増加
今回のWSJにとどまらず、米国では近年、観光地「九州」の評価が急上昇しています。機構によると、1年前には米紙ニューヨーク・タイムズが「2023年に行くべき52か所」に、日本から盛岡市とともに「福岡市」を選出。米旅行雑誌「コンデナスト・トラベラー」では、JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」が23年まで3年連続で1位に輝き、同社の観光列車「36ぷらす3」も23年に15位にランクインしました。
認知度向上に努めたのが、機構の欧米豪プロモーションセンターです。19年のラグビー・ワールドカップ日本大会の集客効果をふまえて20年に発足しました。
当初はコロナ禍で活動が制約されましたが、22年頃からジャーナリストらの来日がかない、海外メディアへの露出が増加します。英紙ザ・タイムズ記者が長崎市を訪れて観光地や地元ガイドの記事をWEBで発信したり、米国の著名ジャーナリストが大分県の別府・湯布院を取材して複数の雑誌へ寄稿したりしました。
機構によると、記事掲載によるPR効果を広告費に換算すると、米国内では20年度の約41億円から22年度は約458億円と10倍超に急増しました。欧米豪では、観光に関する記事への信頼が厚いといい、機構はこれからもジャーナリストらへの情報発信に力を入れる方針です。
ストーリー性を大切に
機構で欧米豪への情報発信を担うのは平子さんを含む3人。平子さんはスウェーデン生まれで北南米でも暮らし、出向元の日本航空ではインドネシアへの赴任歴も。英国居住歴約10年の機構職員・荒木有里子さん、ニュージーランド出身のサイモン・メットカーフさん(JR九州から出向)と、海外に通じたメンバーがそろいます。
チームが重視するのが、欧米豪の観光客の特性です。九州への旅行を考える人たちは、「『富裕層』というより『知的好奇心が高い層』で、観光地の『ストーリー性』なども大事な要素になる」(平子さん)といいます。
アジアからの旅行者が写真や映像で「映える場所」を求めるのに対し、欧米豪の観光客は「地域貢献になるような旅がしたい」といった考えから、地域の歴史や文化を重視する傾向があるそうです。そのためチームでは、海外メディアの照会に対して、入念に下調べしたうえでニーズに合致する情報を提供するよう心がけています。
「世界に通用する『KYUSHU』を掘り起こし、PRするのが最大の役目」と平子さん。「食、自然、文化、何十時間かけても来る価値があることを発信し、JNTO(日本政府観光局)とも連携して現地の旅行会社へのアプローチも強化していきたい」
チームの挑戦は続きます。
チャンネル九州塾でも
九州観光機構は、公式YouTube「チャンネル九州塾」でも、国内の視聴者らに向けて、九州の観光に関する様々な情報を発信しています。
CAおすすめグルメ
ANA公式YouTube「BLUE SKY NEWS」との初コラボで、九州7県それぞれのグルメ・観光スポットを紹介する企画の鹿児島編。桜島フェリー内でしか食べられないうどんや、黒豚を使った豚カツの名店、絶景が楽しめる名門ホテルなどを紹介します。
南国・九州でスノボ満喫!
九州唯一のスキー場「くじゅう森林公園スキー場」(大分県)で、機構職員がスノーボードに挑戦。初体験だったり、10年ぶりだったり…。自然体で楽しむ様子から、用具レンタルなど施設側のおもてなしや、気をつけたいシーンなども”等身大”で感じられます。
熊本城マラソンに挑む!
機構職員が熊本城マラソン(2月18日)に挑みました。スタート前から最初の約2キロ地点まで、約50分のライブ配信も実施。出場者で混み合うスタート地点の様子や、熊本市街地を映しています。(ゴールシーンまでをまとめた動画を5月頃に公開予定)
九州観光機構では、チャンネル登録を呼びかけています。