熊本県天草市は、離島と道の駅を拠点に活動する地域おこし協力隊2人を募集しています。応募は6月30日まで。募集要項などの詳細は市のホームページに掲載しています。豊かな自然の中で田舎暮らしを楽しみながら、住民らと一緒に地域を元気にする力になってください。どんな仕事、どんな生活なのか――、関係者に聞きました。
自然の中でゆたかに暮らす
熊本県の南西部に位置する天草市は、周囲を海に囲まれた天草諸島にあります。2市8町の合併で誕生し、総面積は683.8平方キロ・メートルと県内の市町村で最大です。
漁業や農業が盛んな地域で、野生のイルカが生息する自然景観、キリシタンの歴史など観光資源にも恵まれています。海鮮をはじめとするグルメも大きな魅力です。
人口は7万2516人(2024年3月末)を数えますが、少子高齢化が進み、地域づくりの担い手となる協力隊員の力が必要です。市内では現在6人の隊員が活動しているほか、任期終了後も天草で暮らしているOB・OGが複数います。
離島の移動手段を便利に!
天草市御所浦支所まちづくり推進課
天草市の離島地域を担当する御所浦支所。まちづくり推進課長の松岡秀和さんと係長の鶴岡将さんに協力隊への期待を聞き、現役隊員の池田
――御所浦地域はどんなところですか?
松岡 御所浦島、牧島、横浦島の三つの有人島を含む大小17の島々からなり、人口は2300人ほどです。恐竜や貝の化石が見つかることから「恐竜の島・化石の島」と呼ばれています。3月には天草市立御所浦恐竜の島博物館がリニューアルオープンし、島を訪れる人が増えています。
――地域で何が課題になっていますか?
鶴岡 離島ですのでアクセスは定期旅客船やカーフェリー、海上タクシーになります。カーフェリーを使って車で来島できますが、島外からの車両が増えれば交通問題が発生します。このため、島内にEV(電気自動車)シェアカーを導入しました。タクシーやレンタサイクルもあるので、車で来島しなくても、島を周遊する手段は徐々に充実してきました。
――今回募集する地域おこし協力隊のミッションは?
松岡 島内の移動手段の研究と導入を進め、交通問題の解消に取り組んでほしいと思っています。来島者だけでなく、住民の交通手段の確保も大きな課題です。島では高齢化が進み、車の運転が困難な人も増えています。こうした人たちの移動を含め、海上交通の仕組みまで一体的に考えてもらいたいと考えています。
鶴岡 着任してすぐに成果を出すのは難しいと思います。1年目は島内をあちこち回ってみて、地区ごとの交通課題を把握するところから始めてもらえれば。私は御所浦の出身でもあり、わからないことは聞いてください。島の暮らしを楽しみながら、ミッションにあたってほしいと思います。
――どのような人を求めていますか?
松岡 人とのコミュニケーションが好きで、地域活動にも積極的に取り組みたい人が向いているのでは。島外から移住した20歳代の人も活動しています。天草市の地域おこし協力隊の池田さんのほかに、熊本県の地域おこし協力隊員や恐竜の島博物館の元学芸員もいます。若い人たちと連携して新しいことに挑戦することも可能です。
――島での暮らしはどうですか?
池田 地域おこし協力隊として、空き家対策や宿泊施設の整備などに取り組んでいます。鹿児島県から移住して1年がたちますが、地域の人たちがとても親切で、おいしい魚介と豊かな自然にも恵まれて暮らしやすい場所です。ネットショッピングは注文したその日のうちに届く物もあります。生活で不便はあまり感じません。
鶴岡 島内には商店、飲食店、郵便局、信用金庫、診療所などがあります。小学校や中学校、通信制高校があるので、子育て世代にも安心です。海上タクシーで熊本県水俣市に渡って、九州新幹線を利用すれば熊本市や福岡市にも気軽に行けます。
池田 ご近所からのお裾分けが多くて驚きます。地域の方に声をかけてもらい、週の半分をごちそうになることもあります。日常のあいさつさえできれば、すぐに地域に溶け込めると思いますよ。
――協力隊に興味のある方へのメッセージを。
松岡 市の職員はもちろん、協力隊の先輩もいるので何でも相談してください。御所浦地域の振興に向けて、職員や地域の人たちと一緒に取り組んでみませんか。
池田 協力隊のミッションだけでなく、キャンプイベントを開催したり、マルシェを企画したり、これまでに様々な経験ができました。地域の方と連携しながら御所浦を一緒に盛り上げましょう。
【雇用条件など】
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道の駅から地域を元気に!
株式会社宮地岳(道の駅 宮地岳かかしの里)
海のイメージが強い天草市ですが、広い市域には中山間地もあります。緑に囲まれた「道の駅 宮地岳かかしの里」を拠点に活動する地域おこし協力隊員も募集しています。道の駅を運営する「(株)宮地岳」の代表取締役・中西英雄さんを訪ねました。
――「道の駅 宮地岳かかしの里」はどんな施設ですか?
まちおこしで話題になった「かかし」をテーマに、天草市で5か所目の道の駅として2021年3月にオープンしました。廃校になった小学校を活用した全国でも珍しい道の駅です。市の中心部と牛深町を結ぶ国道沿いに位置し、世界遺産「﨑津集落」を訪れる際に立ち寄る人もいます。物産・お土産コーナー、地元の味を楽しめる飲食コーナーがあり、かかしを常設展示しています。そば打ちなどの体験もできます。
――地域の課題を教えてください。
人口は470人ほどで、高齢化率は6割を超えています。私の生まれ故郷を何とか盛り上げたいと思い、道の駅をハブ(拠点)に地域活性化を目指していますが、来訪者数が伸び悩んでいます。外部からの目線で地域の魅力を掘り起こして集客につなげる、企画力や実行力のある人材を求めています。
――隊員の任務は?
道の駅の運営全般です。店舗での接客、旅行会社への営業、イベントの企画運営、商品開発など幅広い業務があります。道の駅を中核に地域全体をプロデュースしてもらうイメージでしょうか。食事や体験を道の駅で楽しみ、地域で増えている空き家を使った民泊ツアーを企画するなど、いろいろなことにチャレンジできると思います。
――協力隊の経験で身につくスキルは?
観光業の知識を得ることができ、経営ノウハウの習得につながると思います。協力隊の任期終了後も、道の駅のリーダー(店長)として活躍してもらうことも視野に入れています。道の駅にはいろいろな人がかかわり、訪れるため、知り合いも増えます。
――どんな人を求めていますか?
コミュニケーション力があって、営業活動に積極的に取り組める人が向いていると思います。観光関係のコンサルティング、マーケティング業務などの経験がある人も歓迎です。
――協力隊の生活環境は?
少子高齢化が進む地域に移住し、新しい仕事に就き、地域活動にも参加するというのはハードルが高いように感じます。住まいは海に近い天草市中心部に置き、道の駅には車で通勤するスタイルでも問題ないと思います。市中心部から車で20~30分です。私自身も住まいは中心部にあり、道の駅に通っています。
まずは天草市を好きになってもらうことが大切です。天草が好きになれば、どうすれば地域が盛り上がるかを考えるようになり、道の駅への集客アイデアも生まれてくるのではないでしょうか。移住当初は、天草市の本渡町周辺に住むとしても道の駅で働くうちに、宮地岳町への思いが強くなれば、移住(転居)を考えてもらってもよいのでは。
――協力隊に興味のある人にメッセージを。
宮地岳地域には、まだまだ眠っている宝が無数にあると思っています。運営会社「(株)宮地岳」は、小さな組織なので結果が見えやすく、やりがいも感じられるはずです。意欲があって、様々なアイデアを持つあなたの力をぜひ貸してください。
【雇用条件など】
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<お問い合わせ先>
天草市 地域振興部 地域政策課
電話:0969-27-6000
お問い合わせフォームはこちら
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