旅の上を行く「旅」 九州でアドベンチャートラベルを広めよう!

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アドベンチャートラベルの振興に取り組む九州観光機構の花田さん

記事 INDEX

  • 北海道で"1兆円"効果
  • まず13コースを提案
  • 日本人にもオススメ

 大自然や地域文化を体感し、心を豊かにする新しい旅行スタイル「アドベンチャートラベル」(AT)を九州で盛り上げようと、九州観光機構がコースの開発やPRに取り組んでいます。担当者は「豊かな自然はもちろん、おもてなしの心もほかに負けない観光資源。魅力的なコースを増やし、地域活性化につなげたい」と意気込んでいます。

北海道で"1兆円"効果

 ATは、欧米豪で人気の旅行形態です。国土交通省北海道運輸局は「自然の中でのアクティビティや異文化体験を通じて、自分の内面が変わっていくような新たな旅のスタイル」と評価し、日本政府観光局(JNTO)なども推進しています。


北海道観光機構が設けているアドベンチャートラベルを紹介するウェブページ

 官民連携の取り組みが進む北海道では、ATの国際的な業界団体(ATTA)のイベント「ワールドサミット」(ATWS)が2023年9月に開催されました。ATWSには約60の国・地域から旅行業者やガイドら約800人が参加。道内外での体験ツアーも行われ、九州の2コースを訪れた参加者もいたそうです。

 なお、日本政策投資銀行北海道支店は、道内でのAT旅行者による観光収入(個人消費の総額)が30年には年間1兆円に上ると試算。今後、欧米豪の旅行者だけでなく、中国や韓国、東南アジアからの集客も重要になると指摘しています。

まず13コースを提案

 九州観光機構は19年からAT推進に向けた取り組みを開始。九州を訪れる外国人客は韓国、台湾、中国からが9割前後を占めますが、ほかのエリアからの誘客も強化しようと、欧米豪で人気のATに着目したそうです。


九州各地でコースを開発する花田さん

 機構の担当部長、花田政年さん(58)は20年2月から、AT推進に取り組んでいます。ATについて「今までの旅の上を行く『旅』」と指摘します。

 月の半分は出張し、各地の魅力を掘り起こすなどコース開発に注力。2023年度までに、九州各地で計13コースを設定しました。


鹿児島県内には、カヤックでしか行けない穴場もある(提供:九州観光機構)

 このうち、阿蘇・高千穂(熊本・宮崎県)と屋久島(鹿児島県)の2コースは、北海道でのATWSに伴う体験ツアーで参加者を招致。国東(大分県)のコースも人気が高まっているそうです。

日本人にもオススメ

 自然や地域の暮らしに触れつつ、「密」を避けるコース設定もATの特徴。例えば阿蘇・高千穂コースでは、観光名所の高千穂峡は旅行客が少ない早朝に訪ねるように工夫しています。


高千穂峡などの観光名所は旅行客の少ない時間帯に(提供:九州観光機構)

 地元の女性が茶屋で手作りジャムを用意してくれることもあり、「地域の心遣いが観光客に特に喜ばれます」と花田さん。「九州はおもてなしの心が厚い。そんな人との出会いが感動を与える。これは、ほかに負けない九州の強み」と力を込めます。

 花田さんはまた、ATが従来の旅行と違う点として「内面の変化」を挙げます。


「コース開発のほか、商談などにも力を入れていく」と語る花田さん

 「ただ観光名所に行って『キレイ』『おいしい』と感じるだけでなく、『自分でもっと健康に気をつけよう』『環境に優しい行動をしよう』といった”気づき”や”学び”を得られるのがAT。欧米豪で人気ですが、もちろん日本人にもお勧めです」

 九州で提案する各コースは、機構の訪日客向けサイト「Visit Kyushu」で紹介。現在は英語版のみを公開していますが、ゆくゆくは国内向けに短い日数にカスタマイズしたものや、日本語版ページも用意できれば、と思案しています。


Visit Kyushu内のアドベンチャートラベルを紹介するページ

 「今後も魅力的なコースをつくっていくとともに商談の機会を増やし、欧米豪に加えて東南アジアや台湾、韓国にもPRしていきたい」

チャンネル九州塾でも

 九州観光機構では、YouTube公式アカウント「チャンネル九州塾」でも、アドベンチャートラベルをはじめ、九州の旅を楽しむ様々な情報を発信しています。

「達人」たちが語る九州のアドベンチャートラベルの可能性

 そもそもアドベンチャートラベルとは何か、今どうして注目されているのか――について、チャンネル九州塾の唐池恒二塾長(九州観光機構会長)が、ATの「達人」という伊藤忠商事九州支社長の武井克磨さん、大分県を拠点にガイドとして活躍する佐藤徹夫さんらと深掘りします。「(日本は)僕たちが思う以上に面白い国」「九州の大自然は(ATが盛んな北海道に)全然負けていない」と、九州がもつ可能性も指摘します。第2回第3回までの3本立てで、熱く語り合います。

博多祇園山笠に潜入!

 九州観光機構の職員が博多祇園山笠の行事に初参加。舁(か)き山が早朝の街を駆け抜けるクライマックスの「追い山」(7月15日)の迫力を伝えます。7月11日の「他流舁き」、7月13日の「集団山見せ」もライブ配信しており、アーカイブ(記録)動画で楽しめます。

「天神夏まつり」をライブ配信

 機構職員がまつり会場を訪ね、ライブ配信で様子を紹介。たこ焼きやかき氷など祭りムードを高めるグルメ・スイーツや、ヨーヨー釣りや射的といった遊びも楽しめる会場を巡ります。和太鼓の音頭とともに盛り上がる盆踊りも必見です。

 九州観光機構は、チャンネル登録者数を1万人に増やす方針(2024年7月時点で約6700人)。担当者は「(動画に登場する)新しいメンバーも加入した。有名インフルエンサーとのコラボなども通じて、もっともっと九州の魅力を伝えていく。チャンネル登録や『いいね』が励みになっているので、ぜひ登録を」と呼びかけています。


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