福岡発"微笑み"のタイへ 北部の都市でおだやかな日常を体感

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"素顔"のタイに出会えるプレーの朝の市場での一コマ

 王朝興亡の歴史を刻んだタイ北部。ここには、首都・バンコクでは味わえない豊かな自然、趣のある素朴な街並みが広がり、おおらかな国民性に触れることができる。タイ第二の都市・チェンマイを離れ、ランパーン、プレー、さらにナーンへと北部の3都市を訪ねて、ガイドブックでは詳しく紹介されていない北部エリアの魅力を体感した。

「鎌倉の大仏」が!?


チェンマイ駅の車内で出発を待つ乗客たち


 北部エリアへの出発地となるチェンマイ駅には、数十年前の日本で見られたような、郷愁を誘う客車が出発を待っていた。身軽な女性たちに交じって、故郷に帰るのだろうか――、たくさんの荷物を運ぶ僧侶の姿もあった。列車は山岳地帯に入るとスピードを落として進み、2時間ほどかけてランパーン駅に到着した。


山頂に造られた大仏


 まず目指したのは、駅から車で30分ほどのワット・プラタート・ドイ・プラチャーンという寺院だ。200年ほど前に建てられた山頂の寺に、「鎌倉の大仏」にそっくりな巨大な仏像が2021年に完成した。専用の車の荷台に乗って寺に到着すると、"そっくりさん"と呼ぶのがはばかられるほど立派な大仏さまが鎮座していた。


ランパーンの新しいランドマーク的存在になっている


 "本物"より一回りも二回りも大きく、高さ23メートル、幅14メートルの堂々とした風格。市街地を見下ろすような大仏さまは、ランパーンの新しいランドマーク的存在になっているそうだ。


願い事が書かれた絵馬


 その足元には小さな赤い鳥居が連なり、願い事が書かれたたくさんの絵馬が掲げられていた。ガイドのマンさんに聞くと、恋愛成就などの願いが多いという。それにしても、なぜこの地に大仏が? 2013年のある夜、寺の住職の夢に鎌倉の大仏が空を飛んで現れた。「ここに私を建ててください――」。そんな"お告げ"が建立のきっかけになったと、タイでは珍しい日本語表記の案内板に教えられた。


ランパーン市街地を一望できるワット・プラタート・ドイ・プラチャーン


 周囲の共感を得て、山頂での難事業を成し遂げた背景には、国民の9割以上が仏教徒であることに加え、タイの人たちが日本に抱く親近感も大きいようだ。異国で出会った大仏さまに旅の無事を祈り、山を下りた。


チーク材の一大産地

 タイ北部は往時、チーク材の一大産地としてにぎわった。その集散地として、また交易の中心地として栄華を誇ったのがランパーンだ。最盛期には数万頭のゾウが、木材を運んでいたという。


チーク材をふんだんに使った建物が今も残る


 街の名物である花馬車に乗り、中心部を巡ってみる。大英帝国ビクトリア朝の名残を残す、チーク材を使って建て、ミャンマーや中国、西欧の建物様式を折衷した住居が、道の両側を華やかにしていた。


造花で彩られた馬車に乗ってランパーンの街を散策


 馬車を降り、中心部を流れるワン川に沿って、週末に開かれる素朴な露店街を歩くと、ドリアンなど季節のフルーツや衣類を売る屋台が約800メートルにわたり並んでいた。カラフルな工芸品のようなお寿司(すし)も売られていた。


週末に開催される市場は、地元の人たちでにぎわっていた


 翌日には車で1時間半ほど離れたプレーを訪問した。郊外には「タイのグランドキャニオン」と呼ばれる奇怪な場所「ペー・ムアン・ピー」がある。昔の言い伝えから、霊が住む森と名前のついた観光地だ。


"霊が住む森"と名前のついた「ペー・ムアン・ピー」


 15分ほどで回れるこの一帯にだけ、巨大なマッシュルーム形の珍しい岩が点在するなんとも不思議な空間。長年の風雨に削られてできたそうだが、かなり浸食が進んでおり維持や保護も課題になっているという。


愛をささやく壁画

 最後に訪ねたのはラオス国境に近いタイ北部のナーン。まず向かったのは、1596年に建立され、本堂の美しい壁画で知られるワット・プーミンという寺院だ。ここでは、タイの「モナ・リザ」と呼ばれるほど人気の壁画がある。


タイの「モナ・リザ」と呼ばれるほど人気の壁画


 そのタイトルは「愛をささやく人」。作者も制作の意図も不明だが、"従来の仏教絵画とかけ離れた壁画"として知られる。街のあちらこちらで壁画を模した看板や土産品が見られる。


街のあちらこちらで壁画を模した看板や土産品などが見られた


 拝観者のモラルを信頼しているのだろう――、手を伸ばせば触れられるほどの距離にある壁画の前にしばらくたたずむ。どこか意味深な表情をした男女が並んでいるが、なぜこれほど人気なのか理解できない。


下部の小さな看板に「手を触れないで、フラッシュ禁止」と書かれていた


 ガイドのマンさんに聞いて、「なるほど」と納得した。天国や地獄図、地域の歴史などが描かれることが多い厳かな寺の内部。そこに似つかわしくない"男女の関係"を想像させる絵が、ナーンの代表的な寺院に突如登場し、見る人の想像を膨らませ、話題と同時に支持が広がったようだ。


歩行者天国にも人気の壁画が


 訪れたのは週末。外に出ると日没のタイミングで始まったウィークエンドマーケットが、通りに華を添えていた。隣接する広場にはマットが何枚も敷かれ、家族連れやカップルたちが伝統の舞やバンドの演奏を観賞している。地域の人たちに交じって地面に腰を下ろし、暮れていく空を見上げながら夕涼みを楽しんだ。


ウィークエンドマーケットで伝統の舞を楽しむ家族連れ



にっこり笑顔の花

 迎えた最終日、早起きして現地で「カーチャオマーケット」の愛称で呼ばれる中心部の市場を訪ねた。9割以上が仏教徒とされるタイでは、多くの人が輪廻りんね転生を信じ、今の行いが来世につながると考えている。


街の中心にある市場で、履物を脱いで祈りをささげる買い物客


 市場の周辺には、托鉢たくはつをする多くの僧侶が立っていた。通りでは、買い物客がスナック菓子や飲み物を僧侶にささげ、ひざまずく姿があった。受け取った僧侶は、呪文のようなものを唱えている。長生きや健康、幸福を祈る言葉をささやいているそうだ。


朝の市場で托鉢をする僧侶たち


 まだ子どもにしか見えない僧侶の姿もある。男の子は7歳から修行の道に入れるという。彼らが固形物を食べるのは朝だけで、午後に口にできるのは水分のみ。女性に触れてはいけないなど、227もの厳しい戒律を守っているとのことだ。


僧侶は市民から大きな信頼を得ている


 とはいえ育ち盛りの若い僧には、つらい教戒。「人目につかないところで食べることもあるそうですよ」とマンさんがこっそり教えてくれた。


市場では若い僧侶たちの姿が目立った


 僧侶が去った市場では、朝のにぎわいが続く。言葉はほとんど通じないが、カメラを向けながら「撮ってもいいですか?」と視線やポーズでサインを送ると、「OK!」とにっこり笑顔で返してくれるのがうれしい。


早朝の市場で


 2011年に起きた東日本大震災では、タイからもたくさんの義援金が寄せられた。その額はアメリカ、台湾に次いで3番目だったことはあまり知られていない。


たくさんの笑顔に巡り合うことができた


 タイでは、各地でたくさんの笑顔に出会うことができた。初対面の"外国人"の依頼に気持ちよく応じてくれる、おおらかな国民性――。カメラを構えながら、自分が今この瞬間、「微笑ほほえみの国」にいるということを改めて感じた。


街なかで出会った温和でチャーミングな微笑み



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