世界文化遺産登録を目指して 阿蘇の文化的景観の価値を発信

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(前列左から)阿蘇グリーンストック・増井太樹専務理事、文化庁・鈴木地平文化財調査官、全国草原再生ネットワーク・高橋佳孝代表理事、稲葉信子筑波大学名誉教授、フリーアナウンサー・武田真一氏、熊本県・木村敬知事、阿蘇世界文化遺産登録推進九州会議・石原進会長代理、阿蘇草原再生千年委員会・坂本正委員長、熊本県議会・河津修司議員、同・岩本浩治議員、阿蘇世界文化遺産学術委員会・麻生美希委員 (後列左から)もっこすファイヤー、熊本県・富永隼行企画振興部長、阿蘇市・松嶋和子市長、南小国町・髙橋周二町長、高森町・草村大成町長、産山村・井雄一郎村長、阿蘇世界文化遺産登録推進九州会議委員代理・米田秀也氏、熊本県・永松浩史阿蘇地域振興局長、熊本県・池永淳一大阪事務所長、くまモン

 世界最大級のカルデラの中で、約5万人の暮らしが営まれている熊本県・阿蘇の世界文化遺産登録を推進する関西シンポジウムが2月8日、大阪市で開かれた。熊本県と阿蘇郡市7市町村でつくる阿蘇世界文化遺産登録推進協議会の主催で、約200人が参加。熊本出身のフリーアナウンサー・武田真一氏による基調講演やパネルディスカッションなどを行い、壮大で美しい文化的景観を「人類共通の資産たから」として未来へ引き継ごう――と決意を新たにした。

主催者挨拶

 熊本県知事
 阿蘇世界文化遺産登録推進協議会会長
 木村 敬


 熊本県と阿蘇郡市の7市町村は、阿蘇の美しい景観を後世に伝えるべく、世界文化遺産登録を推進してきました。阿蘇は1000年以上にわたり維持されてきた草原、森林、集落、田畑が明瞭な形で残されています。草原は、野焼き、放牧、採草という、人々の営みによる循環で維持されてきました。シンポジウムを関西で開催するのは今回が初めてです。ぜひ魅力を深く知り、皆さまに応援団になっていただきたいと思っております。


基調講演


わがこころの阿蘇~ハナシノブ咲くふるさと

 フリーアナウンサー
 武田 真一 氏

レガシーを次の世代に


 私の実家は阿蘇郡高森町にあり、母親が暮らしています。九州のほぼ中心にある阿蘇のカルデラは日本最大級の規模を誇り、その中に人が住み、営みを続けてきました。穏やかで癒やされる緑と、荒々しい火山の造形が同居するバラエティー豊かなところです。
 そんな阿蘇の草原は広さ2万2000ヘクタールと、だいたい大阪市と同じ面積です。貴重な観光資源ですが、肥後あか牛の放牧にも使われる農業の基盤となっています。いまも野焼きなど人の手によって維持されています。日本の緑の風景は、人の営みとともに育てられてきたものでした。
 祖先がつくり上げてきた素晴らしい景観、レガシー(遺産)を私たちはいま預かり、次の世代に手渡していく責任を負っています。世界遺産に登録されれば、大きな大きな後押しになります。関西の皆さまも阿蘇を訪れ、楽しんでいただければと思います。

阿蘇の世界文化遺産としての価値とは何か

 筑波大学名誉教授 
 静岡県富士山世界遺産センター館長
 稲葉 信子 氏

人と自然の共同作品


 世界遺産というと、どんなものを思い浮かべますか。ピラミッド、ベルサイユ宮殿、ギリシア文明の遺跡、万里の長城……。しかし、大きさや美しさを誇るものだけでいいのか――、世界遺産委員会の中でも議論が起こりました。欠けているのは「人の営みの歴史を語るもの」、とりわけ「人が自然と生きてきた歴史」です。
 現在1248ある世界遺産は、さまざまな地域の物語であり、地球の教科書です。「そんな歴史があったのか」と人々の心に響くメッセージを出す役割があります。
 世界遺産委員会は、「文化遺産」と「自然遺産」の境界に存在する遺産に注目してきました。人と自然の多様な関係のあり方を示すもの、それを世界遺産では文化的景観と言っています。阿蘇が語るものは人が自然と生きてきた歴史、人と自然の共同作品です。人が世界最大級の火山カルデラを緑の景観に変えてきたという価値は、阿蘇にしかありません。

パネルディスカッション

「阿蘇」はなぜ、世界文化遺産登録を目指すのか

 文化庁文化財調査官の鈴木地平氏、阿蘇グリーンストック専務理事の増井太樹氏を加えてパネル討論も行われた。全国草原再生ネットワーク代表理事の高橋佳孝氏がコーディネーターを務めた。



受け継いできたものを大事に

高橋:日本の原風景が阿蘇にはありますが、地元だけで維持するのは難しい局面に入っているかと思います。
増井:県の統計では、毎年8000人以上の地域の方が野焼きなど草原を守る活動に参加しています。阿蘇の人たちは「カルデラを守ろう」「自然を守ろう」ではなく、「地域で受け継いできたものを大事にしたい」という思いなのだと私は感じます。高齢化が進み、なかなか地元だけで野焼きができない中でボランティアの参加も増えています。ボランティアとして野焼きに参加いただけたら嬉しいですが、ボランティアだけでなく阿蘇に観光に来てもらうことも草原を応援することにつながると感じています。
武田:阿蘇の素晴らしさは認めていただいているのですか、それとも他の課題があるのでしょうか。
鈴木:世界遺産になるには条件が三つあり、一つは「熊本だけ、日本だけ、ではない世界的な価値がある」こと、二つ目は「それを守っていく手段が講じられている」こと、三つ目が「地元の方がそれを大事なものだと認識し、応援いただく」ことです。価値は、すごいものがあると思うんです。ただ、他の地域でもそうですが、二つ目、三つ目の条件に少し時間がかかっている状況です。
高橋:世界遺産に登録されるとどんな期待ができるのでしょうか。
稲葉:世界遺産になれば、世界遺産リストに阿蘇のページができます。阿蘇から直接、海外に発信をすることができます。「持続可能な保全のモデルとして、世界の人にさすがと思ってもらえること」を期待しています。
高橋:世界遺産に登録されることの意義とは何でしょうか。
鈴木:世界の人が阿蘇を知るということが大きいです。そして、阿蘇の人みんなが登録された世界遺産の関係者になるので、価値を地元で共有していただくことが大事です。また、阿蘇を日本代表として世界に出す意義を日本全国で共有していただきたいです。


阿蘇の世界文化遺産登録への期待や課題について語るパネリストたち


阿蘇の農村風景を確実に未来へ


高橋:知事、登録に向けて、期待と決意表明をお願いします。
木村:かつて鳥取県の観光課長だったとき、島根県の石見銀山が世界遺産になりました。何がすごいかというと、地元の方が銀山の文化的、学術的価値を調べ、地域で高めていく努力をし、世界に訴えかけたことです。阿蘇で体現してきた農耕文化と自然の調和を維持していくためにも、団結して進む時が来たと思っています。
高橋:皆さん、一言ずつお願いします。
稲葉:世界遺産の推薦文を考えるのは舞台脚本を作るのと似ています。ものだけでなく、住んでいる方々を含めてすべてが役者です。阿蘇の価値を伝えるものがたりを探していきます。
鈴木:阿蘇は住んでいる人だけの資産ではありません。今日ご来場の皆さんとご縁ができたので、阿蘇のファンになっていただき、これからも心の隅に置いていただきたい。
増井:「あって当たり前」だった阿蘇の草原も減り始めています。だからこそみんなの力が必要です。今後も阿蘇に関心を寄せていただければありがたいです。
木村:私は阿蘇の農村風景を未来へ確実につなぎたい。持続可能な世界、地球にやさしいモデルを子どもたちに分かってほしいし、伝えていきたいです。
武田:阿蘇っていいな、と改めて感じています。素晴らしい価値を全国に伝えていきたいし、人々の暮らしを豊かにすることを考えていく責任があると思いました。
高橋:阿蘇の景観はみんなの資産。この輪が大阪からも広がっていくことを期待しています。



阿蘇世界⽂化遺産登録推進応援セッション


武田氏が応援大使に


 木村知事から武田氏に「阿蘇世界⽂化遺産登録応援⼤使」の委嘱状が手渡されました。阿蘇草原再生千年委員会の坂本正委員長、阿蘇世界文化遺産登録推進九州会議の石原進会長代理(JR九州名誉顧問)のほか、阿蘇郡市7市町村長も登壇し、世界遺産登録への強い決意を表明しました。「熊本県住みます芸⼈」の「もっこすファイヤー」がセッションの進行役を務め、会場を沸かせました。


(左から4番目)小国町・渡邉誠次町長、(同11番目)西原村・吉井誠村長、(同12番目)南阿蘇村・太田吉浩村長


主催/阿蘇世界文化遺産登録推進協議会(熊本県・阿蘇市・南小国町・小国町・産山村・高森町・西原村・南阿蘇村)

広告> 企画・制作:読売新聞社ビジネス局


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