読売新聞読者投稿「私の日記から」~生きがい編

企画

 読売新聞の九州・山口各県で掲載されている読者エッセー欄「私の日記から」の特別編として、「生きがい」をテーマにした投稿を募集しました。趣味や仕事を楽しみ、地域活動に貢献する3人の作品を紹介します。

温かみあるカリグラフィー


矢野さんが手がけたカリグラフィー

(福岡市 会社員 矢野智子 38歳)

 アルファベットの文字を美しく書く「カリグラフィー」。数年前に化粧品を購入した際、店員さんが私の名前をささっと書いてくれました。その美しさに感動し、「私も書いてみたい!」と憧れました。
 コロナ禍でオンライン講座が定着したこともあり、インスタグラムで先生を探しました。東京の先生の文字に魅了され、月1回の通信講座で習いました。上京し、直接指導を受けたこともあります。
 「Thank you」などと書き添えることで、プレゼントがグッと華やかになります。関東に住む伯母の誕生日に、お祝いの言葉をつづったカードを贈ると、感激してわざわざ電話をくれました。
 デジタルも便利ですが、手書きの温かみがあるカリグラフィーを通じて、人とのつながりが豊かになる喜びを感じています。

美容師の仕事は元気の源!


自身の店で、髪をカットする松田さん(右)


(北九州市 美容師 松田正子 82歳)

 美容師として、自宅に併設した小さな店で一人で仕事をしています。29歳で店を始めて半世紀あまり。以前は従業員もいましたが、自分のペースでぼちぼちやっていこうと、10年ほど前に改装して席数を減らしました。
 80歳の頃には、その年で働くことにためらいも感じました。でも、休日はたいくつで何もする気になれません。お店でのお客さんとの会話が元気の源だと改めて気づき、働き続けることにしました。人前に立つからにはと、自分なりにおしゃれも楽しんでいます。ネイルは赤です。
 開店当初からのお客さんも。最高齢は97歳。おばあちゃん美容室に来店してくださるお客さんに感謝です。この仕事が大好きです。お客さんとおしゃべりしながら、元気に笑顔で仕事ができればと願っています。

毎日の登下校の見守り活動


小学校の校門付近で子どもたちを見守る峯重さん


(山口市 無職 峯重義信 80歳)

 警察官だった経験を買われたのか、15年ほど前から知人の勧めを受けて小学生の登下校の見守り活動をしている。
 毎朝、児童たちと小学校まで歩き、車に気をつけるよう呼びかける。私の健康にも良いし、黄緑色のベストを身につけて立てば防犯にも役立つと思っている。「おはようございます」とのあいさつを通じ、元気をもらっている。
 ある夕方。低学年の女の子2人が自宅に来て、「蛇がいる」との“緊急通報”。私はうろたえた。実は蛇が苦手。だが、ここで弱音を吐くわけにはいかない。虫捕り網と火箸を手に現場に向かい、車にひかれた1匹を確保して、そっと川の茂みに投げ入れた。
 子どもたちが困ったときに私を信頼して“通報”してくれたと思うと、容易には見守りを引退できない。もう少し頑張ってみよう。

「私の日記から」原稿募集

題材は自由で、400字程度。原稿は返却しません。匿名希望や二重投稿はお断りします。掲載分には薄謝(図書カード)を贈り、読売新聞の電子メディアや出版物などで公開することがあります。

投稿フォームはこちら


advertisement

この記事をシェアする