読売新聞読者投稿「私の日記から」~彩り編

企画

 読売新聞の読者エッセー欄「私の日記から」の特別編として、「彩り」をテーマにした投稿を募集しました。日々の暮らしや人生に彩りをもたらしてくれる趣味や自然、家族についてつづった3人の作品を紹介します。

娘の言葉で「編み物ママ」に


子どもたちと作品を手に笑顔を見せる林さん(中央)


(山口県周南市 林あかね 32歳)


 半年ほど前、7歳の長女から「編み物がしたい。編み物ができるお母さんになって」と言われました。幼稚園の頃から憧れていたのだと思います。手芸は得意ではなかったのですが、初心者向けの本と道具をそろえ、挑戦しました。

 編み針を規則的に動かして没頭できるのが心地よく、楽しくてはまりました。当初は、本を見ても分からない部分を自己流でやっていました。妥協した部分が作品に表れ、「次はここに気をつけよう」と目標を持てるのも面白いです。今では毛糸を買いに行く手芸店の常連になりました。

 長女は、編み物をする私をニコニコと見て、不格好な作品も自信作も大切にしてくれます。「ママが編んだよ」と周囲に見せる姿は、うれしいやら恥ずかしいやら。最近は一緒に、ぬいぐるみ用のマフラーを初めて編みました。

 3歳の次女は、私の膝の上で毛糸の切れ端を触って遊びます。娘たちの「息づかい」を感じながらの制作は至福のひとときです。のんびり楽しく、いろんなものを編んでいきたいです。

2人で季節を感じる幸せ


夫の澄雄さん(左)と昨年の芝桜の写真を見ながら、思いを語る国房さん


(山口県周防大島町 国房たま江 78歳)


 3年前に夫が道路で転倒して頭部に大けがをし、救急搬送されました。脳外科がある病院に2か月、リハビリの専門病院に6か月入院し、自宅での生活が始まりました。

 後遺症で右半身にマヒがありますが、自分でトイレに行き食事もできるので、好きだった旅行に行けなくても「後悔はないね」と夫と話していました。それでも老々介護で私の体調が度々悪くなり、夫はデイサービスを利用しているものの介護が重荷に感じられ、「あー、1人でゆっくり旅行したい。時間を気にせず外出したい」と思うことも。

 そんな時、近くの学校にある河津桜が私の心を和ませてくれ、元気をもらえました。秋にはカエデやイチョウも色づきます。我が家の庭にも、しだれ桜やモミジなどがあります。もうすぐ芝桜が庭いっぱいに花を咲かせ、甘い香りが漂います。遠くに行けなくても、身近に季節を感じる場所があることに感謝です。

 いつか一人旅に行くことを夢見て、今は2人での何事もない生活に幸福を感じて過ごしたいです。


前向きな妻へ 「ありがとう」

(長崎県佐世保市 吉村博 71歳)

 子ども4人が独り立ちし、夫婦で暮らしています。引っ込み思案で控えめな私に比べ、妻は書道やスイミング、絵手紙を習うなどチャレンジ精神が旺盛です。

 そして、何でも前向きに捉えることができ、メンタルが強いです。今まで、私が子育てや仕事で落ち込んだり心配したりしていると、「大丈夫、大丈夫」とポジティブな言葉をかけてくれました。

 そんな妻を我が家の「彩り人」だと思っています。

 一番感謝しているのは、毎日おいしい食事を用意してくれることです。朝は決まってバナナやヨーグルト。昼や夜は私の希望に応じてスマートフォンでレシピを調べ、献立を考えてくれます。食事が待ち遠しく、私は無心で食べています。結婚して44年たちますが、年々おいしくなっているように感じます。

 妻は結婚後、3回の手術と入院を経験し、その都度苦労を重ねました。もう病気をすることなく、2人で楽しい生活を送りたいです。声には出せませんが、「いつもありがとう」と心の中で言っています。

「私の日記から」原稿募集

題材は自由で、400字程度。原稿は返却しません。匿名希望や二重投稿はお断りします。掲載分には薄謝(図書カード)を贈り、読売新聞の電子メディアや出版物などで公開することがあります。

▶投稿フォームはこちら


advertisement

この記事をシェアする