「むなかたSDGs探究」
海を守ろうむなかた実行委員会は、社会課題を自ら発掘し、課題解決に取り組む探究学習プログラム「むなかたSDGs探究」を福岡県宗像市の各中学校で実施しています。豊かで美しい海を次世代に引き継ぐための活動で、海を介して人と人とがつながる日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。
宗像市立中央中学校の1年生は、総合的な学習の時間の中で、海の環境問題について学びながら、どのような取り組みで自分たちの住む地域をより良くしていくことができるのかを考えていきます。生徒たちは9月6日、未利用魚を有効活用しているベンチャー企業「ベンナーズ」(福岡市)の井口剛志社長から、地域資源の活用について話を聞きました。
正解のない課題に取り組む
講義が始まる前に、この探究学習プログラムの進行役を担う株式会社ミエタ(東京)の島川竜也さんがプログラムの趣旨を説明しました。島川さんは「みなさんが取り組むのは身の回りに実在する“正解のない課題”です。課題を調べ、解決策を考えていく中で自分の可能性を広げよう」と呼びかけました。
誰かの課題を解決すること
井口さんが創業したベンナーズは、廃棄されてしまう魚を有効活用する事業を行っています。井口さんは「起業で一番大事なのは誰かの課題を解決すること」と話し、海を取り巻く四つの課題を紹介しました。課題とは、▽魚の消費量減少▽漁業従事者の減少▽未利用魚の増加▽海洋汚染――で、これらの解決に挑むことをベンナーズのミッションに掲げています。
未利用魚は、形の悪さや調理が難しいといった理由から、市場に流通する前に廃棄される魚で、漁獲量の約30%にもなるそうです。ベンナーズは、福岡市東区の自社工場で未利用魚を手軽においしく食べられるように加工し、食卓に届けています。これにより、課題解決を目指しているのです。
井口さんは「食べられるのに食べられていない魚はまだまだたくさんいる。自分自身もたくさん食べて、みなさんに食べてもらえるようにチャレンジしたい」と話しました。
生徒から「推しの魚は何ですか?」と質問された井口さんは、「宗像のトラフグは日本で一番おいしい」と答え、「以前、漁師さんの船に乗せてもらったとき、鮮度を保つために船の中で生かしておくなど丁寧に扱っていました」と振り返りました。
井口さんは最後に、「学んだ知識が世界をより良くします。知的好奇心を持ち続けてほしい」と生徒たちを激励し、生徒からは感謝の拍手が送られました。