環境イベント「COMMON POINT」が10月12、13の両日、「気候と自然とわたしたち」をテーマに、福岡市中央区の天神中央公園で開催されました。身近な食やファッションなどを通じて楽しみながら、気候変動が与える影響と自分たちにできることを考えたイベントをリポートします。
専門家からアドバイス
メインステージではトークショーが行われ、東京大学未来ビジョン研究センター教授の江守正多さんら気候変動の専門家が登壇しました。江守さんは「昨年も今年も日本は記録的に暑かったが、世界全体の平均も過去の記録を大幅に上回る高温」と解説。「気温上昇の要因は人間の活動による温室効果ガスで、化石燃料を燃やしてエネルギーを作る際に二酸化炭素を出してしまうから」と力説しました。
江守さんは気候市民会議の取り組みも紹介。無作為に選ばれた市民が気候変動の問題を議論するもので、世界各国で開かれています。日本国内でも自治体との連携で広がっているそうですが、「関東圏での事例が多いので、ぜひ福岡でも」と呼びかけました。
気象予報士で防災士の正木明さんは、学校に出向いて子どもたちに気候変動の課題を伝える活動に取り組んでいることを発表。「今までと同じ豊かな生活を続けるために、環境に優しい生活を考えることが大事」と説明しているそうです。
また、気象予報士の有志が、気候変動の情報発信を強化する共同声明も出しています。正木さんは「今を生きる人たちは、次の世代を担う子や孫のことを考え、自分たちの暮らしを見直してほしい」と訴えかけました。
トークショーを進行したのは、パタゴニア日本支社環境・社会部門の中西悦子さん。中西さんは「自分の暮らしが良くなる先に、脱炭素のアクションがつながっていれば、多くの人が協力できると思う。そのためにはどんな方法があるのか、情報を求める人との共通点をつくる場になる」と、イベントの趣旨を語りました。
地球に優しい製品販売
環境に優しい製品を販売するブースも会場に並びました。リサイクル素材を使った生活用品や、市場に流通しない「未利用魚」の加工品を扱う店舗などがあり、寄った人たちが店員とのやり取りを楽しんでいました。主催団体の一つ、LOVE FMの下田浩之さんは「自分がいいなと選んだもので、環境への負荷が減らせることに気づいてもらうきっかけになれば」と話してくれました。
来場者もクリーン活動
会場周辺でクリーン活動も行われ、イベント来場者も一緒に参加していました。親子でごみ拾いをした福岡市の小学2年、藤村澪以(れい)さんは、植木の中などに手を伸ばして捨てられたごみを回収していました。藤村さんは「大きな段ボールを拾えて楽しかった」と笑顔を見せていました。
【COMMON POINT】
日程:2024年10月12日(土)・13日(日)
会場:天神中央公園 西中洲エリア(貴賓館前広場)
主催:LOVE FM、パタゴニア日本支社
後援:福岡市、九州大学