宗像の海の現状は? 小学生が漁業者から聞き取り

企画

宗像の海の現状について児童に説明する権田さん

「むなかたSDGs探究」

 海を守ろうむなかた実行委員会は、「世界遺産の海で考える」をキーワードに、環境問題をはじめとする地球規模の社会課題を自ら発掘し、解決を目指す探究学習プログラム「むなかたSDGs探究」を福岡県宗像市の小中学校で実施しています。豊かで美しい海を次世代に引き継ぐため、海を介して人と人とがつながる日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。

 宗像市立玄海東小学校の4年生は9月、探究学習プログラム「むなかたSDGs探究」の中で、同市が誇る世界遺産「沖ノ島」について学び、次世代へとつなぐために何ができるかを考える学習をスタートさせました。同月19日には、地元の漁業者を招き、宗像の海や沖ノ島の現状について話を聞きました。

増える海ごみ 漁業者の負担に

 児童たちはこれまで、沖ノ島を有する宗像大社の神職や、島の研究者の話を聞いてきました。この日の講師は、海の環境保全や持続可能な漁業に取り組む「一般社団法人シーソンズ」代表理事の権田幸祐さんが務めました。授業の始めに権田さんが「お父さんが漁業者っていう人はどれくらいいる?」と問いかけると、3分の1ほどの児童が手を挙げました。権田さんは「この地域では多いけど、全国的には少ない業種で、これからどんどん減っていく」と話し、授業がスタートしました。


「2050年には、海中のプラスチックごみの重量が海の生物の重量を超える」と説明する権田さん

 権田さんは、漁獲高の減少や魚価の低迷など複数の要因から漁業の担い手が減っていると説明しました。海洋環境の変化にも触れ、宗像の海には東アジアから大量のごみが流れてきていることも紹介。ごみが原因で漁船の故障や漁具の破損も相次いでいるとして、「海ごみを回収する漁業者の負担は増えている」と明かしました。終わりに権田さんは「魚や米を食べることが、自然環境を守る生産者を支えることにつながる」と呼びかけました。

 児童たちは「ごみ拾い1回でどれくらい回収するのか」「サメに遭ったらどうするのか」と次々に質問をするなど、興味津々の様子でした。熱心にメモを取りながら耳を傾けていた入江司君(9)は、「2050年には、海の中で魚よりごみが多くなると知ってびっくりした。海のごみ拾いをやっていきたい」と話していました。


メモを取りながら真剣に話を聞く児童たち

 児童たちは学んだことをまとめ、11月8日に行われる「むなかた子ども大学」で地域の人たちに発表する予定です。


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