進化は「変異」と「適応」から 創造性の源泉を『進化思考』から学ぶフォーラム開催 

企画

記事 INDEX

  • 九州の特性を打ち出す新発想を
  • 「進化思考」の著者が基調講演
  • 有識者とパネルディスカッション

 新規事業の立案や革新的な発想の鍵を探るフォーラム「アイデアの『思考の進化』を九州に活(い)かす!」が12月20日、福岡市中央区赤坂の読売新聞西部本社1階で開かれ、デザインやマーケティングなどに携わる約50人が耳を傾けました。

「進化思考」の著者が基調講演

 九州の地域性、デザイン性に優れた産品の販路開拓や商品開発を支援する一般社団法人福岡デザインアクション(FUDA)が主催。創造性の仕組みを生物の進化から学ぶことを提唱した『進化思考』の著者でデザイナーの太刀川英輔さんを招いて、基調講演とパネルディスカッションを行いました。

進化は変異と適応の反復


太刀川英輔さん

 第1部の基調講演には太刀川さんが登壇。生物の進化は「変異」と「適応」の繰り返しで起こることを紹介し、「変異と適応の往復ということでは、デザインやアート、マーケティング、新規事業もすべて一緒」と、創造性にも生物進化の考え方が当てはまると説明しました。

 その上で、変異は「偶然」、適応は「必然」とし、持続不可能と指摘される現在の状況を変えていくために「偶然性をマネジメントして"バカ"なことをいっぱいやろう」「それぞれの現場でやり方をアップデートしていくことで、だんだん変わってくる」などと訴えました。

 会場からの質問にも答え、進化をもたらすためには「エラーとそのコストをどう許容するのか、失敗を許さないのではなく、挑戦しやすい"砂場"をいっぱい作る必要がある」と力を込めました。

有識者とパネルディスカッション

 地方創生に取り組む有識者が加わった第2部のパネルディスカッションでは、「変異と適応」の発想を自分自身や組織の中に、具体的にどう落とし込んでいくのかについて意見を交わしました。

 太刀川さんは、タイヤのない車を例に、タイヤのない車が機能するのか、そうした車にニーズがあるのか、過去にはどのようなものがあったのか――と、一見、荒唐無稽に思えても様々な角度から何度も観察することの大切さに言及。「もう一歩踏み込んで、観察してみようというステップが必要」と提起しました。

わからないことは観察する


若林宗男さん

 テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」の企画制作を経て、現在は若林ビジネスサポートの代表を務めている若林宗男さん。15人の社長にインタビューして本を書いた経験をもとに、「事実を事実としてどうやってつかみとるのかというのが観察の非常に重要なところ。やるかやらないかが大事だ」と力説。「わからないことは観察して、分解して、一つ一つの部品にしていればわかる」と呼びかけました。

言語化の繰り返しが重要


早嶋聡史さん

 ビズ・ナビカンパニー社長で、経営者に戦略立案や問題解決策を提供する早嶋聡史さんも、自身が毎日気づいたことをブログでつづっていることを紹介。「『適応』していく時代ごとに僕自身が何を感じたのかは思い出せないが、ITに頼ると検索できる」とした上で、言語化を繰り返していくことの重要性を強調しました。


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