豊かな海を体感する「むなかたSDGs教室」 学生記者が一日を取材㊦
セミナーで漂着ごみを拾った感想を述べる子ども
海の豊かさに触れ、自然の大切さを学ぶ10月5日の「むなかたSDGs教室」。会場の岬地区コミュニティ・センター(福岡県宗像市)では、この日最後のプログラムとして、宗像の沖に浮かぶ沖ノ島をテーマにした「世界遺産セミナー」が行われました。参加した小学4~6年の21人は、島が古来、海の交通安全を祈るお祭りの場となり、漁業者らに大切にされてきた歴史や、島の周辺で近年深刻化している海洋ごみ問題について学びを深めました。
柳田顕志(やなぎだ・けんし) 記者
けん玉が得意な佐賀大学4年生。短期のアルバイトでラーメン店やホテルの備品管理など、様々な現場を経験しました。三好不動産(福岡市)が運営する学生ボランティア団体「一般社団法人アースプロジェクト福岡」にも参加しています。今回の取材で、海洋ごみによる漁業への被害や回収・処理費用の負担など問題の深刻さを知りました。
Mission.3 世界遺産セミナー
沖ノ島の歴史と文化に触れる
九州本土の沖合約60キロ・メートルに浮かぶ沖ノ島は、2017年に国内21番目の世界文化遺産として登録された「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の中核をなす構成資産です。古くから海上交通の守り神として信仰を集め、関係者以外の上陸が禁じられているという珍しさでも知られています。
セミナーの狙いは、地域の魅力や歴史、文化を知り、守り伝えていくことの大切さを子どもたちに学んでもらうことです。講師役は、宗像市世界遺産課の岡崇さん、進行役は教育事業に携わる「株式会社ミエタ」(東京)の島川竜也さんが務めました。
早朝からイベントに参加している子どもたちは少し疲れた様子。セミナーは子ども同士がペアになって、数字を1から交互に数え、相手に「13」(遺産)を言わせた方が勝ちというゲームから始まりました。表情がほぐれた子どもたちは、少し難しくてなじみにくい世界遺産の話にすんなりと入っていけたようです。
最初に「宗像三女神と沖ノ島」という短編アニメが放映されました。天照大神によって生まれ、沖ノ島の沖津宮、大島の中津宮、九州本土の辺津宮(三宮を総称して宗像大社)に祭られた宗像三女神の物語や現在まで伝わる信仰などを分かりやすくまとめた作品で、子どもたちも真剣な表情で見入っていました。
海洋ごみの現状とは
講義はクイズも交えて行われました。
「海のごみで一番多いのは何だと思う?」。島川さんの問いかけに、「プラスチック!」「プラスチック!」と答える子どもたち。自信満々な様子に、海洋問題への関心や理解の高さが伺えました。クイズでは、ベトナムから流れ着いたジュースの缶、50年前のお菓子の袋など、近くの海で時空を超えて見つかったごみも実物を交えて紹介されました。海ごみの多くが元々は道路に捨てられたごみだとの説明には、子どもたちから驚きの声が上がりました。
岡さんは、「海の漂着ごみが増えているのは、簡単にポイ捨てをする人間の心が原因。人はごみがないところにはごみを捨てないので、ごみが落ちていないまちを作っていくことが大切です」と呼びかけ、島川さんも解決するためには、「ごみを減らして、正しく捨てる」「再利用する」ことが重要と説きました。
そして、最後の問いかけは「世界遺産はなぜ大事なのか」――。地元の農業、漁業などの産業を支えてきたものこそ、沖ノ島に宿る神への信仰であり、宗像三女神への信仰です。2人の先生は、島を守ることは、海を守ること、そして地域の産業を守ることにもつながると結びました。4年の前川守志君は、「世界の国からいろんなごみが流れてきていることが分かった。三女神の話も初めて聞いて面白かった」と話していました。
閉会式を迎え、楽しかった一日も終わりの時間が近づいてきました。子どもたちはスタッフから教室の修了証書を受け取ると、満足そうな笑顔で会場を後にしました。
イベントを終え、宗像市秘書政策課の一番ヶ瀬拓也係長は、「宗像市には世界遺産があり、海と密接に関係し、海の活動をしている人が多い。我々だけでなく、市外の方にも関わってもらえれば、地元にプラスの効果が期待できる。まずは海との接点をもち、海の環境の現況に関心を持ってもらえれば」と話してくれました。
この一日を通して、子どもたちは海の美しさや豊かさはもちろん、それを守る大切さを自身の体験として感じとっていたと思います。教える大人たちの熱意と、素直に学ぶ子どもたちの姿が印象的で、まさに"質の高い教育"と"海の豊かさを守る"というSDGsの目標が形になった一日でした。
(柳田顕志 記者)
■イベント当日の様子
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