【山口】「回天」題材の野外演劇 大津島で11月に上演

 旧日本軍が太平洋戦争末期に特攻兵器として開発した人間魚雷「回天」にまつわる演劇「あゝ大津島 碧(あお)き海~サイドストーリー~」が11月7、8日に、当時、特攻隊員の訓練基地があった山口県周南市の大津島で野外上演される。舞台を企画し、自らも元隊員を演じる俳優の若林哲行さん(80)は「実際の島で演じられるのは役者冥利(みょうり)に尽きる」と意気込んでいる。(田中誠也)


野外上演を紹介するチラシ


昨夏上演作のサイドストーリー


 この演劇は戦後80年の昨夏、市文化会館などで上演された。年老いた元隊員が記者の取材を受けながら当時を振り返る物語。今回は、約2時間だった本編を1時間程度にまとめるなど内容を一部変更しながらも、出撃直前の潜水艦で夢を語る隊員たちの心情などを掘り下げた芝居にしているという。

 若林さんは30歳代の頃に特攻隊員の役を演じた際に「回天」の存在を知り、回天を題材にした舞台の脚本を自ら手がけるようになった。今回は、「隊員たちは本心では、生き残って夢を達成したかったのではないか」との解釈で、戦後80年で上演した本編の「サイドストーリー」として制作。戦跡や隊員の史料などが今も残る大津島での上演が実現した。


記者会見で大津島での上演について語る若林さん


「現実の島で戦争考えて」


 若林さんは10月5日、周南市役所で記者会見し、公演をPR。劇団出身で映画や刑事ドラマなどでも活躍してきた若林さんは近年、原点である芝居に力を入れており、「夢を持って生まれてきながら、特攻で散ってゆく隊員たちは、さぞかし無念だっただろう。青春ドラマにもなっており、現実の島で戦争というものを考える機会にもなってほしい」と来島を呼びかけた。

 野外上演は両日とも午後2時半開演。上演前には、山口市のシンガー・ソングライターで野外上演にも出演するちひろさんのミニコンサートも開かれる。チケットは「チケットぴあ」や周南市文化会館(0834-22-8787)などで販売中。一般3000円、小学生以上の学生1500円(いずれも税込み)。

 島への運航時刻などの問い合わせは、大津島巡航(0834-21-7749)へ。


advertisement