【大分】臼杵の古民家を「妖怪博物館」と「町家ホテル」に再生

妖怪博物館と町家ホテルに生まれ変わった古民家。2階の窓からは柿の妖怪「たんころりん」が覗く


 火の玉を食べたことで真夜中でも見える目を得た「火の玉男」、通行人に赤子を抱いてと頼む「産女(うぶめ)」――。妖怪にまつわる伝承が300以上残る大分県臼杵市の歴史的な町並みの一角に10月17日、築約150年の古民家を再生した私設の「妖怪博物館」と「町家ホテル」がオープンした。関係者はまちおこしだけでなく、市内に残る歴史的な建築物を残し、活用する機運の醸成につなげようと意気込んでいる。(足立有希)


異界への誘い

 中心となって活動を進めてきたのは、市民団体「市の美しい町並みを守る会」の理事長などとして45年以上、地元のまちづくりに尽力してきた斎藤行雄さん(66)。見星禅寺(臼杵市)の門前にたたずむ1880年(明治13年)頃の建築とみられる木造2階建て、延べ床面積約66平方メートルの古民家を約20年前に買い取り、文化財の修復なども行う地元の大工ら職人たちと市の魅力を発信する新たな拠点として大規模改修を進めてきた。

 建物の中央を壁で仕切り、東側半分を妖怪博物館「にほん妖怪博物館もののけ御殿」、西側半分を1日1組限定の町家ホテル「臼杵城下町あわい」とした。


「にほん妖怪博物館もののけ御殿」の2階部分(有料)で施設をPRする斎藤さん(右から2人目)ら関係者


 博物館の1階部分では、県内の妖怪にまつわる天井画や1000冊以上の書籍を無料で公開しているほか、張り子人形師でもある斎藤さんらが手作りした市ゆかりの妖怪の人形など土産物も販売する。有料の2階部分(小学生以上600円)には、斎藤さんが収集した国内外の妖怪の人形やお面、貴重な書物など3000点以上が並び、訪れる人を異界へ誘う。今後は、定期的に展示替えを行うほか、張り子の絵付け体験なども予定しているという。


城下町の情緒

 一方のホテルは、歴史ある建物や職人の手仕事を肌で感じられる快適な空間で、窓からは城下町の情緒が味わえるつくりになっている。


古民家の造りをいかした町家ホテル「臼杵城下町あわい」


 総工事費は約2500万円。国の補助金や斎藤さんの個人資金のほか、クラウドファンディングで国内外から集まった約300万円を活用した。運営は、斎藤さんが代表を務めるまちづくり会社「大分ヘリテイジマネジメント」が行う。


 同市では戦前から市民によって城下町の風情を残す町並みが守られてきたが、修繕が難しい個人の家は、壊され失われてきたという。今回再生した古民家も、専門家から「残すのは難しい」と言われたが、斎藤さんは「古民家を直し、未来につなぐ最初の実例をつくりたかった」と語る。

 オープンにあたり、斎藤さんは「自然豊かで古い町並みが残る臼杵には、妖怪話も多く残されている。臼杵の魅力をまた違った角度から味わえる場所として楽しんでほしい」と話している。

 妖怪博物館の開館時間は午前10時~午後6時。火曜日休館。問い合わせや宿泊の予約は、同社(0972-77-5998)、または今後公開される同社のホームページで受け付ける。


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