【大分】福沢諭吉を大河ドラマに 実現へ中津市が始動!
大分県中津市は、郷土の偉人で思想家の福沢諭吉(1835~1901年)を主人公にしたNHK大河ドラマの実現に向け、活動を始める。1万円札の肖像が渋沢栄一に代わり、その顔を徐々に目にしなくなっているが、関係者は「福沢の精神は変わらない。新たなレガシーを残したい」と意気込む。(大石健一)
「不滅の福沢プロジェクト」
福沢諭吉は、中津藩士の家に生まれ、蘭学などを学び、幕末に幕府の使節とともに欧米を見聞。西洋の思想や社会を「文明論之概略」「学問のすゝめ」などの著書で紹介、啓発し、日本の文明開化に重要な役割を担った。慶応義塾大の創始者ともなった。
1984年から1万円札の肖像になり、映画やテレビドラマでも主人公になった。しかし、2024年に肖像が渋沢栄一に交代し、お札で目にする機会が少なくなってきている。
中津市は、肖像の交代で福沢が忘れ去られないよう「不滅の福沢プロジェクト」と銘打って、教育、文化事業に取り組んでいるが、「独立自尊」「実学」の重視といった普遍的な精神を全国に発信するため、大河ドラマ化に挑戦することにした。10月13日の定例記者会見で、奥塚正典市長は「150%の本気度でやる。先が読みにくい現在の世相でも、福沢先生の言ったこと、やったことは大きなヒントをくれると思う。素晴らしいドラマになり得る」と、ぜひとも実現させたい構えだ。
関係団体との協議体を検討
具体的な取り組みは今後検討するが、NHKへの要望活動にとどまらず、経済団体、慶応義塾の同窓会など関係団体と協議体を設立し、「オール中津」で機運を醸成していきたい考え。顕彰事業の強化や、早稲田大の創設者・大隈重信の故郷佐賀市など、福沢関連の人物の出身自治体とも連携することなどをイメージしている。
これまで中津市ゆかりの人物の大河ドラマでは、中津城主だった黒田官兵衛を描いた「軍師官兵衛」(2014年)があり、市観光課によると当時の経済効果は推定で約20億円に上ったという。
大分県内では、佐藤樹一郎知事らを顧問にした協議会が、戦国大名・大友宗麟の生誕500年の2030年を目標に大河ドラマ化を目指している。また、NHK朝の連続ドラマの主人公にと、中津市では福沢諭吉の母お順を推す活動が続き、宇佐市でも疎水の功労者南一郎平を主人公に、と求めている。
大河ドラマを巡っては、登場人物の描かれ方にゆかりの地が異議を唱えるケースも起きている。竹田市は、2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」で、岡藩の初代藩主の父・中川清秀が味方を裏切った人物にされたとして、NHKに抗議文を出した。
「福沢諭吉伝説」の著書がある評論家の佐高信さんは「偉い人を偉かったと描くだけでなく、米英の思想家として福沢が排撃された歴史、西南戦争に参加し、思想的に違う道を歩んだまたいとこの増田宋太郎との対比などで取り上げるなら意義があり、面白いと思う」と話した。




