記事 INDEX
- 石灰石から消臭インテリア
- 甘さを直送「完熟あまおう」
- ”田川自慢”まだたくさん!
ふるさと納税(寄付)をしてくれた人に”感謝”を届けたい――。今回は、福岡県田川市が用意している数々の返礼品の中から、地元の石灰石を使ったインテリアと、甘さを追求したイチゴの生産者を訪ね、品質へのこだわりや現場の思いを聞きました。
石灰石から消臭インテリア
「漆喰(しっくい)は天然の空気清浄機と呼ばれているんです」。耐久性に優れ、古来、建物の外壁材などに用いられてきた漆喰。国内でトップシェアを誇る「田川産業」の岩田優さんが、その機能に着目した消臭インテリア「ルミエキューブ」を見せてくれました。
一辺2センチの立方体。原材料の消石灰の粒子には、目に見えない無数の孔(あな)があり、ニオイ成分を吸着して無臭化する機能があります。抗菌性にも優れ、靴やげた箱、冷蔵庫の中に置いておくと効果を発揮するそうです。
表面は光触媒でコーティングされており、太陽光に3時間ほど当てるとニオイが分解され、繰り返し何度でも使えます。「気になる場所に、積み重ねて飾ってください」と岩田さんは話します。
消石灰は鉱山から採掘された石灰石を加熱・加水することによって起こる「化学反応」でつくられます。田川産業は地元筑豊産の石灰石を使用し、創業当時から変わらない伝統工法を用いることで、より良質な消石灰を製造しています。
この消石灰の粉に約4000トンの圧力をかけ成形し、炭酸ガス(二酸化炭素)と反応させることで大理石のように硬くなります。ルミエキューブはこの世界初の技術でつくられています。
1924年創業の田川産業は、建築用石灰の製造を主とする中で、水を混ぜるだけで使える漆喰を約60年前に全国で初めて開発しました。小倉城や熊本城、大阪城などの改修にも同社の漆喰が使われているそうです。
キューブは漆喰の機能を毎日の生活で実感してもらおうと、室内に彩りを添えるインテリアとして商品化されました。
岩田さんは「漆喰はほかにも、抗菌や防カビ、湿度のコントロールといった機能があります。より多くの方に漆喰の魅力を感じてもらえたらうれしい」と話します。
甘さを直送「完熟あまおう」
「先端の最も甘い部分で糖度18度を記録したことがあります」。「完熟あまおう」に情熱を注ぐ黒木誠さんが胸を張ります。11月下旬にハウスを訪れると、イチゴの白い花が咲いていました。12月上旬から実が赤く色づき、下旬以降に収穫が本格化していきます。
イチゴ栽培は田川市の社会福祉法人「猪位金(いいかね)福祉会」が運営する福祉施設「暖家の丘」の農業事業として2021年にスタートしました。黒木さんは施設のアグリ事業部に所属し、イチゴの育成管理を任されています。
このハウスから出荷するイチゴは、なによりも“完熟”が売り。イチゴは一般的に、きれいな形で店頭に並べるために流通にかかる日数を見越し、完熟を迎える前に収穫されるそうです。実は収穫後も赤く変化しますが、甘くなることはありません。
暖家の丘では、消費者に甘いイチゴを届けることを最優先し、熟れる直前を見極めて実を摘み取ります。このため完熟あまおうは、ハウスから直送できるネット通販やふるさと納税返礼品のほか、施設近くの直売所「来てみんね・かながわ」など地元でしか入手できません。ほおばると、完熟ならではの濃厚な甘さと、あまおう特有の酸味がマッチして口の中に広がるといいます。
安定した品質管理のため、ハウス内には、光合成に必要な二酸化炭素の濃度、温度や湿度など測定するセンサーが設置されています。それらの数値を読み取りながら、苗に水を与えたり、温風を送ったり厳密な管理をするそうです。
将来は高齢者に働く場を提供することも視野に、「おじいちゃん、おばあちゃんの生きがいづくりにも貢献できればいいな」と黒木さん。「周囲の農家にも『甘くておいしい』と褒めてもらえました。食べた人が笑顔になってくれたらうれしいです」
”田川自慢”まだたくさん!
田川市が誇る返礼品は、まだまだ盛りだくさんです。
(画像はいずれも田川市提供)
トライアルのプルコギ
市内には、石炭採掘で発生した不要な石や土を集めてできた「ボタ山」があります。造成した場所に整備された白鳥工業団地に、ディスカウントストアを展開する「トライアルカンパニー」(本社・福岡市)の加工センターが立地しています。
センターでは、トライアルの店頭で人気のプルコギを生産しており、ふるさと納税返礼品にもラインアップされています。牛バラ肉をオリジナル醤油(しょうゆ)ベースのタレで味付けした一品です。
山賊唐揚げ
創業40年を超える市内の飲食店「本家 山賊鍋」の人気メニュー・山賊唐揚げも用意されています。地元では、子どもからお年寄りまで長く愛される”古里の味”です。
調理は、解凍して揚げるだけ。ニンニクと卵は使わず、大ぶりの鶏肉を秘伝の醤油ベースのタレに漬け込んでいます。薄皮の衣で、外はカリッと中はジューシーです。
森本うなぎのかば焼き
炭坑でにぎわっていた1900年に創業した老舗「森本うなぎ」のかば焼きもあります。ちょっと贅沢(ぜいたく)をしたいとき、地元住民なら誰もが思い浮かぶ味です。
厳選されたウナギを使用し、職人が手作業でさばいて炭火でじっくりと焼きます。創業以来、継ぎ足してきた秘伝のタレがファンの胃袋をつかんで離しません。
アンネル羽毛布団
”安心して、寝る”から「アンネル」。1963年創業の同社は、熟練の職人が羽毛布団を一枚一枚、市内の自社工場で丁寧に仕上げています。
羽毛は厳しい検査に合格したものだけを使っています。保温性や耐久性に優れ、ふんわりとした柔らかさが自慢です。
田川市のふるさと納税の取り扱いについては、市の公式サイトで案内しています。
「ふらっと たがわ」は、福岡県田川市の意外に知られていない”横顔”や地域の魅力を紹介するコーナーです。
<バックナンバー>
1. はじめての田川まち歩き 昭和がかおる人情商店街をみつけた
2. 田川の元気を廃校から発信!「いいかねパレット」で弾ける笑顔
3.「月が出た出た 月が出た」 旧炭都・田川を照らす夜景を巡る
4. 田川市のまちなかアートを見て歩く 作品がつなぐ記憶と想い