福岡県須恵町の町立須恵東中にある201段の階段に、生徒たちがカラフルな「階段アート」を描いた。町内各地で壁画を制作してきた九州産業大造形短期大学部(福岡市東区)の黄禧晶(ファンヒジョン)教授から指導を受け、学生や保護者、教職員ら大勢の大人たちと力を合わせて完成させた。(興膳邦央)
九産大造形短大の教授や学生らが協力
2か所の踊り場を挟んで校舎へ続く階段は「希望の階段」と名付けられている。1989年の開校と同時に設けられ、現在も約400人いる生徒の半数が、この階段を上って登校する。
階段アート制作が動き出したのは2月。生徒会役員が地域住民らとの懇談の場で「名前の通り、希望に満ちたワクワクする場所にしたい」と提案したことがきっかけだった。町内のトンネルなどに学生たちと壁画作品を展開してきた黄教授にこの提案が持ち込まれ、生徒らとの合作を進めることになった。
作品テーマは生徒へのアンケートで「学校の四季」に決まった。美術部の生徒らが原画を描き、黄教授の指導で学生たちが段差などを考慮したデザインに仕上げた。題材には季節の花や、学校周辺に現れるイノシシの子などを選んだ。
地域の大人たちも協力した。階段の洗浄や下塗り処理といった作業を、町内の小中学生と卒業生の保護者らでつくる「須恵町おやじの会」などが引き受けた。
生徒たちは10月10、11日、アクリル絵の具を使って階段に絵を描いた。黄教授や学生に教わりながら丁寧に筆を運び、はけをこまめに動かして色むらが出ないように着色。時々持ち場を離れ、作品全体を確認しながら作業を進めた。
11日には生徒や学生ら約50人が参加。午後になるとほぼ完成し、2月に階段の刷新を提案した生徒会副会長の3年花木萌愛(もあ)さんは「本当に階段が生まれ変わった」と喜んだ。「毎日の登下校が楽しみ」と3年深見紗良(さら)さんも笑顔を見せた。
一緒に絵を描いた学生たちも表情に充実感をにじませた。生徒と話し合いながら焼き芋の絵に湯気を描き加えた造形短期大学部1年宮園敏輝さんは「中学生(の作品)らしさを損なわないようにした。いろんな人が見てくれる場所に作品が残ることがうれしい」と語った。
黄教授は「アートを学ぶ学生に地域貢献の意識が高まり、地域もアートに理解を示してくれる。お互いがいい関係を築く機会になっている」と話していた。







