北九州市7区のご当地演歌 介護の現場で働くROSEさんが制作

各区の演歌を完成させたROSEさん(右)と藤原さん

 心と体の性が一致しないトランスジェンダーで、北九州市若松区を拠点とするシンガー・ソングライターのROSE(ローズ、本名・宮崎猛志)さん(67)が、市内7区をそれぞれ舞台にした演歌を手がけた。完成した7曲は介護職として勤務する介護老人保健施設「サングレース」(八幡西区)で流しており、「各区出身の利用者が耳を傾けたり、自然と口ずさんだりする姿が見られる」と手応えを感じている。

女性として生きていく決断

 ROSEさんは56歳で女性として生きる決断をした。カミングアウトに伴い、23年勤めていた職場は「ありのままの姿で働けなくなった」として退職。約1年前から現在の施設で勤務しており、お年寄りが親しみやすく、身近に感じてもらえる音楽として演歌を制作した。

 何十年かぶりに小倉駅に降り立った主人公のかつての恋心が歌われる「吟醸の街 小倉」(小倉北区)、壇ノ浦の合戦や巌流島の決闘といった関門海峡の歴史が織り込まれる「門司千年譜」(門司区)など、曲には各地の名所や歴史に人情を絡めた。「小倉南初恋譜」(小倉南区)▽「若松恋しぐれ」(若松区)▽「河内慕情」(八幡東区)▽「長崎街道恋灯り」(八幡西区)▽「人情の町 戸畑」(戸畑区)――と、曲名からも演歌ならではの情感が伝わってくる。

「お年寄りの心に届く音楽」

 ボーカルを歌声合成ソフト「ボーカロイド」で制作するなど、新しい技術も駆使した。施設ではお年寄りがくつろいでいる時間帯に、食堂ホールで音源を流しており、副施設長の藤原麻子さん(73)は「心に届く歌詞で認知症の利用者も小さい頃の古里を思い起こしているようだ。人生を豊かにしてくれる音楽の力はすごい」と評価する。

 「北九州を離れて暮らす方も古里の景色や家族・友人との記憶を思い出し、郷土に戻る気持ちになってもらえればうれしい」とROSEさん。「地域のイベントなどで親しまれ、北九州の街をアピールできるようにしたい」と話している。


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