地域の音楽文化と歩んだ歴史 北九州市立響ホールが開館30年
記事 INDEX
- 音楽に最適な設計で
- 市民の誇りの施設に
- 記念の演奏会と催し
北九州市立響ホール(八幡東区平野)が7月に開館30周年を迎えます。「郷(ふるさと)の音、世界に響け」との思いが込められた音楽専用ホールでは、国内外の演奏家による名演が披露され、数々の感動を生み出してきました。7月30日には記念コンサートを開催して節目を祝います。
音楽に最適な設計で
北九州市のシンボル・皿倉山(622メートル)の麓にある国際村交流センター内に、同市初の本格的な室内楽ホールとして1993年7月30日に完成したのが響ホールです。周囲に広がる豊かな自然を映し出すガラス張りの外壁が目を引きます。
メイン施設の大ホールは、ステージを取り囲むように配置した1、2階の客席に720人を収容。この会場で、最適な音の広がりが感じられるよう、満席時の残響時間を1.8秒で設計しています。
内装には、新日本製鉄八幡製鉄所(当時)のものと同じ耐火レンガや、地元企業に特注したガラスを用いており、ものづくりの街・北九州らしさも感じさせます。
市民の誇りの施設に
「国内外の音楽家から『いつかは響ホールで演奏したい』という話をいただくことも多い。そういった意味では市民の誇りの施設になっていると思います」。北九州市芸術文化振興財団の理事長で響ホール館長も務める久保山雅彦さん(62)は語ります。
30年前の開館時は、記念のフェスティバルが5日間にわたって開催されたといいます。「八幡の街がホールに大きな期待を寄せていたことがうかがえます」と久保山さん。ホールの音楽監督にはバイオリニストの数住岸子さん(1952~97年)が就任。当時、公立の音楽ホールに音楽監督が配置されるのは異例のことだったそうです。
これまでに、「ピアノ界の貴公子」と呼ばれ、2008年の北京五輪開会式で演奏を披露したラン・ランさんもステージに立ちました。ホールの担当者は「一番の魅力は音響の良さです。国内外の演奏家から信頼を得ています」と胸を張ります。
コロナ禍でコンサートなどを開けない日が続きましたが、感染状況が落ち着きを見せ、響ホールにもかつての光景が戻ってきたそうです。久保山さんは「クラシックを中心としたホールですが、ジャズなどいろいろな音楽を望む声もあります。ホールの音響を踏まえながら、希望に沿えるような企画をやっていきたい」と話します。
記念の演奏会と催し
7月30日の開館30周年記念「ガラ・コンサート」は好評でチケットがすでに完売。NHK交響楽団特別コンサートマスターの篠崎史紀さん、バイオリン奏者の南紫音さんら、北九州市出身の6人を含む総勢21人が出演し、2大弦楽セレナーデなどを演奏する予定です。
前日の29日には、親子連れも楽しめる企画「まるっとEnjoy!響ホールで夏休み」を開催。ホールが所有するチェンバロなどの音色を聴いたり、楽器を間近で見たりできます。3歳から入場でき、6月20日まで参加希望者を募っています。催しの概要や申し込み方法の確認、チケットのオンライン購入は、北九州国際音楽祭の公式サイトで。