筑後市で循環バスが実証運行中!買い物・通院・通学の足に

 福岡県筑後市は、公共交通の利用促進と日常の買い物や通院支援につなげようと、市街地のJR羽犬塚駅周辺でバスを循環させる実証運行を行っている。期間終了後の10月以降、本格運行に向けてバス停を増やしたり、運行ダイヤを見直したりする方針で、同市は「住民の意見などをもとに、既存の路線バスとは違うコースを運行する。高齢化がさらに進む前に、便利さを体験し、生活に役立ててほしい」と願っている。


羽犬塚駅周辺など筑後市中心部を循環するバス

 6月上旬の午後、サンリブ筑後店で循環バスを降りた70歳代の男性は、「市立病院前で乗車し、10分ほどで着いた。通院と買い物を要領よく済ませられるのでもっと使っていきたい」と笑顔を見せた。

JR羽犬塚駅周辺にバス停約20か所

 実証運行は県の補助を受け、市地域公共交通活性化協議会が昨年10月、1年間の計画で始めた。事業費は約7360万円で、運行は堀川バス(八女市)に委託。小型バスで羽犬塚駅東口を発着点に、高校や病院、公共機関、商業施設前など約20か所にバス停を設け、約11キロのコースを45分ほどで回る。逆コースの2路線があり、計16本を運行している。

 誰でも利用でき、運賃は中学生以上200円、小学生100円、幼児は無料。運転免許返納者、身体障害者手帳を持った人らは100円などとなっている。運賃に100円を追加すれば一日乗車券も利用できる。

 同協議会事務局の市都市対策課などは、利用促進のため、無料乗車期間を設けたり、商業施設でチラシを配布したりしてきた。循環バスを利用してランチを食べに出かける取り組みも好評だった。

利便性を高め10月以降に本格運行へ

 利用者は徐々に増えているが、それでも今年3月以降、1日平均は20人ほどという。市が実施したアンケートでは運行継続を望む意見が多く、10月以降も継続を決めた。JRとの接続をよくするためのダイヤ見直しやコース延長、新たなバス停の設置を求める意見などを反映するという。

 運賃は据え置き、新たに「おでかけパス」(定期券)を発行。65歳以上と18歳以下の学生・生徒は1か月3000円、19~64歳は同4000円とする。また、同市内の9校区・自治区で運行するコミュニティー自動車(バス)を利用する会員は、100円で乗車できるようにする。

 また、便数は変えず、列車との接続がスムーズにいくよう、同駅東口での発着時間をずらす。バス停は九州自動車道・八女インターチェンジ入り口、焼き肉店、ドラッグストアなど約10か所を加え、より利便性を高める。

 本格運用の費用は年間約2730万円を見込む。同市都市対策課は「通勤や仕事でも利用しやすくなる。積極的に利用すれば外出が楽しくなることも期待できる。市民の移動手段を守っていきたい」としている。


advertisement

この記事をシェアする