「令和の再出発」に期待 飯塚市の嘉穂劇場が5年ぶりに開場

2階席から見た劇場内部。舞台前には桝席が並ぶ

 筑豊炭田の発展とともに娯楽の場として親しまれながらも、2021年から休館していた福岡県飯塚市の芝居小屋「嘉穂劇場」(国登録有形文化財)が10月24日、約5年ぶりに開場し、記念イベントなどが行われる。まずは見学施設として新たなスタートを切る。市は「文化財としての価値を味わってほしい」と来場を呼びかけている。

様々な「娯楽」を住民に提供

 劇場は前身の「中座」の焼失や倒壊を経て、1931年に市中心部の一角に開館した。江戸時代の歌舞伎様式を伝える木造2階建てで、収容人数は約1200人。歌舞伎や演劇を始め、美空ひばり、加山雄三さんらスターのほか、力道山のプロレス興行も行われた。2006年に国登録有形文化財、07年には近代化産業遺産にも認定された。


開場に向けて準備が進む嘉穂劇場


 しかし20年以降の新型コロナウイルス禍の影響で、運営していた認定NPO法人が21年に経営難で解散。市に無償譲渡した。市は整備費約1億4000万円をかけ、建築基準法に適合しない下足棟や楽屋棟を撤去するなどしてきた。


文化財としての価値を発信

 今回可能となる内部見学では、文化財としての価値を伝える。趣ある枡(ます)席や桟敷を行き来でき、舞台下の「奈落」にも入り、場面転換に使う円形の「廻(まわ)り舞台」の下に突き出た「力棒」を押し、舞台を回す体験の実施も検討している。


場面転換に使う「廻り舞台」の下部。12本ある「力棒」(右手前)を人力で押して回す


 武井政一市長は「まずは見学施設として開場する。懐かしいと思う人、新たに関心を持つ人に、ぜひ足を運んでほしい」と語る。


 市は今回の開場を、多目的施設としての貸し出しや劇場再開につなげる方針。劇場再開の時期は、市教育委員会の諮問機関が開場100年に当たる2031年度と答申したが、36億円と見込まれる工事費などの状況を見て判断するという。

公演や和太鼓で門出を祝う

 新たな開場を地元住民は歓迎しており、劇場近くで長年建材店を営み、自治会長も務めた竹下茂木(しげき)さん(81)は「炭鉱の遺構が少なくなった中でかろうじて残っている建物。たくさんの人に興味を持ってもらいたい」と呼びかける。


「たくさんの人に興味を持ってもらいたい」と語る竹下さん


 10月24日は午後0時半から一般開放される。25日までは劇団の公演や和太鼓演奏などのほか、桟敷席ではシュンランの展示などもある。26日まで入館無料とし、通常開館は29日から。


advertisement

この記事をシェアする