暮らしのそばの「命」を紹介 「生き物絵図鑑」シリーズ最終作を発行
写真やイラストで水辺の生き物を説明している
福岡県柳川市の「やながわ有明海水族館」は、柳川市を中心に北部九州の里山などで生息する魚類や昆虫などをまとめた絵図鑑「カメスケのかわいい水辺の生き物③」を発行した。著者で佐賀大学4年の亀井裕介・名誉館長(22)は「人間の暮らしのそばで生きてきた生物はかわいくて魅力的。絵図鑑を見ながら、里山の環境の変化も考えてほしい」と期待している。
「やながわ有明海水族館」から
同水族館は、市内を巡る掘割の近くに立地している。亀井さんは小学生の頃から各地の水族館を訪れたり、里山や川などで生き物観察をしたりすることが好きだった。「ここは、身近にいる魚などを見ることができるのがいい」と通い続け、城南高校(福岡市)2年から大学1年まで館長を任された。
亀井さんが、環境の変化で見られなくなりつつある生き物をピックアップして紹介。2022年と24年には、生き物と環境保全の大切さを伝えようと、水族館が「掘割や有明海にいる生き物」「有明海にいる生き物」をテーマにそれぞれ発行した。
シリーズ最終作の今回は「中・上流域にいる生き物」がテーマ。柳川や八女、福岡、北九州、佐賀各市などの川辺や里山で見つけた鳥類、両生類、水生昆虫、甲殻類など約100種類の生き物を取り上げた。田中克・京都大学名誉教授が監修し、亀井さんが撮影と解説文を書き、イラストデザイナーの田渕周平さんがシリーズを通して絵を担当した。
サワガニの項目では、「福岡県では赤色が多いが、太平洋沿岸には青もいる。食べてもおいしい」と解説。川魚のカジカの紹介では「産卵の時期にはオスが紫色になり、背ビレのフチが黄色くなって、めちゃくちゃかっこいいんです!」と親しみやすい文章でつづっている。
「ヒコサンミジンニナ」は英彦山の名前がついたわずか1ミリの巻き貝。「山中の水がしみ出している沢などに生息し、落ち葉をそっとめくると見つかることが多い」と書いた。それぞれの生き物には絶滅危険度を示したレッドリストのカテゴリーも記載している。
名誉館長「親子で楽しんで!」
亀井さんと水族館スタッフの大石涼子さんらは9月15日、柳川市教育委員会に約40冊を寄贈。受け取った橋本秀博教育長は「楽しみながら水辺の生態を知ることができ、私たちが自然の中で生かされていることを実感できる。絵図鑑は市内各小中学校と図書館に配布して多くの人に見てほしい」と期待を込めた。
亀井さんは「北部九州のなかでも、掘割の延長が930キロ・メートルもある柳川は、自分にとって宝箱のような存在。川が森の栄養を流し海を育てている。絵図鑑は、自然と生き物への関心を深められるようイラストをふんだんに使って、堅苦しくない内容になっており、親子でも楽しんでほしい」と話した。
A5判のオールカラーで96ページ。税込み1650円。同水族館や県内の書店、アマゾンなどインターネットで販売している。問い合わせは同水族館(0944-72-2424)へ。







