天神のジュンク堂で絶滅危惧種のドジョウが繁殖! 北九州・魚部が確認
福岡市中央区天神の「ジュンク堂書店福岡店」に置かれた水槽で、絶滅危惧種のオンガスジシマドジョウが自然繁殖しました。水槽で飼育中に繁殖した例は確認されておらず、九州最大の繁華街にある大型書店での出来事に、関係者は驚いています。
遠賀川流域に生息するドジョウ
オンガスジシマドジョウは遠賀川流域だけに生息し、成長すると体長約10センチになります。繁殖期を迎えた雄は体の斑点模様が線状になり、ドジョウ研究に取り組む福岡県保健環境研究所(太宰府市)の研究員・中島淳さんが2012年に命名しました。
環境省のレッドリストでは、近い将来に野生での絶滅の危険性が高い「絶滅危惧ⅠB類」に分類されています。
書店員が世話を続けていたら…
このドジョウが店にやって来たのは2016年。中島さんがドジョウの分類に関する本を刊行した際、研究を通じた交流が縁で、生き物の愛好家でつくる北九州市のNPO法人「北九州・魚部」(井上大輔理事長)が店内に水槽を置き、遠賀川流域で捕まえた数匹を展示したのが始まりでした。
その後は、店のスタッフらが餌やりや水替えといった世話を続けていましたが、昨年12月25日に水槽を掃除していた店員が、数匹の稚魚がいるのに気づき、北九州・魚部がオンガスジシマドジョウであることを確認しました。
小さな生命を探しに来てね!
北九州・魚部によると、オンガスジシマドジョウは福岡県内では「北九州市ほたる館」(小倉北区熊谷)で展示されていますが、水槽内で長く飼育した個体が繁殖した例はないそうです。中島さんは「どのように繁殖したのかを調べることで、希少種の保全に向けた飼育法の解明につながるのでは」と期待しています。
天神で誕生した稚魚の体長は1センチほど。ジュンク堂書店福岡店の遠藤康平さんは「生まれたドジョウを見に来てもらい、気になった本にも手を伸ばしてほしい」と話しています。