【鹿児島】平和の尊さを伝えて30年 鹿屋航空基地史料館

 鹿児島県鹿屋市西原の海上自衛隊鹿屋航空基地史料館が7月25日、開設から30周年の節目を迎えた。これまでの来館者数は207万人。戦時中、鹿屋に海軍特攻の前線基地があったことから、遺族から提供された隊員の遺書や遺影が展示されており、夏休みも無休で平和の尊さなどを伝える。


零戦も展示している鹿屋航空基地史料館

 史料館は1993年、現在地に開設。自衛隊員の教育などを目的に同基地内にあったが、地元の自治体などが「平和教育や観光資源に役立てたい」などと要望し、一般公開できる施設として整備された。

 戦時中、この地から飛び立った多くの若者が戦死しており、史料館の特攻作戦コーナーには、特攻の歴史を語り継ごうと、隊員の遺影や遺書が並ぶ。戦前の海軍の歴史や海自の活動を紹介する展示もある。

保存資料は6800件超

 史料館によると、遺品の寄贈は今も絶えず、毎年20件前後にのぼり、保存資料は6800件を超えた。屋外には、世界に一機しかない「二式大型飛行艇」など、退役した航空機も展示している。

 史料館で7月24日、30周年の記念式典が開かれ、鹿屋基地の関係者や運営に協力してきた市民ら約30人が出席。藤原直哉・第1航空群司令は「これからの日本を背負う若い人たちに、戦争とは何かを考え、平和の尊さを知ってもらうためにも、家族で来館してほしい」などと呼びかけた。

 開館時間は午前9時~午後5時。入場無料。問い合わせは、同館(0994-42-0233)へ。