北九州市は11月21日、複合公共施設建設のために取り壊す予定だった初代門司駅(1891年開業)の関連遺構について、一部を現地で保存し、別の一部を施設内で展示する方針を明らかにした。遺構を巡っては、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の諮問機関「国際記念物遺跡会議(イコモス)」が、保存を求める「ヘリテージ・アラート」を発出していた。
別の一部は展示
遺構は、江戸時代の地盤沈下対策の技術が用いられた機関車庫の基礎部分などで、施設建設に伴う発掘調査で出土。市は記録として残した上で取り壊し、整備事業に取り組む考えを示していた。15日から造成工事を進めている。
市によると、基礎部分の一部を埋め戻す一方、別の一部は施設内の床下に移してガラス床を張り、来館者が見学できるようにする。
市役所で記者会見した武内和久市長は、施設建設と遺構保存を求める市民双方の声に応える方法を検討した経緯を説明し、「両立に努めながら施設整備を進めていきたい」と語った。