【熊本】八代市の国名勝「松浜軒」 長塀の修復が完了
熊本県八代市北の丸町3にある国指定名勝「松浜軒(しょうひんけん)」で、老朽化した長塀の修復工事が終わった。八代城主の松井直之が1688年に建てた御茶屋で、費用の一部はクラウドファンディングで募った。第14代当主の松井葵之さんは「ご寄付をいただいた皆さまの結晶。末永く大切にしたい」と話している。
倒壊の危機 寄付募り復元
長塀は長さ約32メートル、高さ約2メートルで、過去の風水害や地震などで道路側に傾いていた。塀の真裏で庭園側にある樹齢約150年のクスノキが成長し、根が基盤石を15センチほど押し上げたことで倒壊の恐れがあり、2024年5月から専門家による修復が続いていた。
設計・管理を担った修復技術システム熊本支店技術顧問の原田聡明さんによると、工事はすべての長塀を解体した後、屋根瓦や土壁として使えるものは再利用。伝統的な木造建築としての原形を保つため、くぎを使わないなど昔ながらの接手技法で復元した。クスノキは伐採して、切り株を保存した。
総事業費は、25年8月の記録的大雨での浸水被害の復旧を含む約6000万円。国などの補助金や、クラウドファンディングで集まった約4000万円を充てた。
関係者による神事と報道機関の内覧説明会が昨年12月3日、現地で行われた。長塀は静かな庭園と日常の外界を隔てる役割も果たしており、松井さんは「静けさと風情を楽しんでほしい。先人から受け継いだ歴史は八代の名に恥じない文化財で、次世代へとしっかり引き継ぐ」と力を込めた。
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