宗像国際環境会議を宗像大社で開催 「常若」をテーマに

 第9回宗像国際環境会議が10月26~28日、福岡県宗像市の宗像大社を主な会場に開催されました。「常若 とこわか 生命の源泉」をテーマに、各界の第一人者によるシンポジウムのほか、地元の中高生を対象とした特別講義、トークショーやファッションショーなど多彩な催しが行われました。開催初日の模様をリポートします。

「常若」の考え方をSDGsに置き換えて

 会議は、昨年に続いて宗像大社からのオンライン配信形式で行われました。開会に先立ち、伊豆美沙子市長は「宗像市はゼロカーボンシティの実現を目指しています。持続可能な社会の実現に向けて、この会議が皆さんの行動を起こすきっかけになることを願います」とあいさつしました。

 福岡県の服部誠太郎知事はビデオメッセージを寄せ、「福岡県が掲げるワンヘルス(One Health=「人の健康」「動物の健康」「環境の健全性」を一体的に守っていくという考え方)の実現のために英知を結集し、価値ある議論をしてほしい」と期待を示しました。

 続いて、宗像国際環境会議の小林正勝会長が「今年のテーマである『常若』は、まさにSDGsに置き換えることができます。田舎の原風景に戻すだけでなく、次世代につなげていくという考え方で議論したい」と呼びかけました。

ローカルアクトをグローバルの構想に

 鼎談ていだん形式で開かれた各セッションでは、研究者やジャーナリストなど環境分野の有識者が議論を交わしました。「海の変化と再生への取組み」のセッションでは、九州大学大学院の清野聡子准教授が登壇。2016年から参画している環境DNAの調査プロジェクトについて紹介しました。


 清野准教授は、市民がくんだ水を研究機関に送ってもらうなど、先端技術の急速な発展によって、近年は市民が研究に参加する意義が高まっていることを説明。「ローカルでの取り組みがグローバルな構想につながってきている。そこに若い人が参加していくことが重要になる」と訴えました。

 続いて、宗像漁業協同組合の桑村勝士組合長が海を取り巻く現状を報告。海水温、漁獲時期、漁獲量それぞれの変化について数値を示しながら、なぜ変化が起きているのか因果関係を研究・検証し、対策をとっていくことの重要性を説きました。

地元の中高生もプログラムに参加

 地元の中高生を対象とした「育成プログラム」では、シャボン玉石けん開発本部の吉田光希さんが、宗像市・地島で行われた「島まるごと実証実験プロジェクト」について説明しました。


 このプロジェクトは2021年9月から11月にかけて行い、島民約140人が使用する合成洗剤を無添加せっけんに替えました。島内の下水処理場の水質を調べたところ、微生物の種類と量が実験前より増えていることが分かり、洗剤の切り替えで生活排水がきれいになり、環境への負荷が軽減されることが示されました。

 吉田さんは「社会貢献につながる仕事に携われ、やりがいを感じた」と話し、「一人ひとりの意識が未来の海を守ることにつながる」と生徒たちに語りかけました。



 宗像国際環境会議ではこのほかにも、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の世界遺産登録5周年を記念したトークショー、サステナブル(持続可能)をテーマにしたファッションショーなど様々な催しが行われました。

 会議の詳しいリポートは、公式サイトで公開される予定です。