福岡県大刀洗町が、野菜や雑貨などの地元産品を販売する町直営のマルシェに力を入れている。2010年にスタートしたが、事業を継続するため、昨年度に販売スタッフが商品の陳列方法を学ぶ勉強会を開くなどし、内容を一新した。町は「地域経済の活性化につなげたい」と意気込んでいる。
陳列法など磨き魅力向上へ
4月19日に町役場横の大刀洗ドリームセンター入り口で開かれたマルシェ。アクセサリーなどの手芸雑貨や手作りのキムチなどが並び、おそろいの久留米絣(かすり)のエプロンとベレー帽姿の店員2人が接客に当たった。
マルシェは、町内に道の駅など大規模な産直施設がないことから、町が直営で始めた。町花にちなんで「さくら市場」と名付け、町が雇用したスタッフが町民手作りの雑貨や野菜などを販売。町内外で月10回程度開催してきた。
21年度に外部の専門家に内容を審査してもらったところ、「趣味とビジネスが混在しているので、戦略が立てにくい」「活動を続けていくためにはブランド化が必要だ」などの指摘を受けた。
出品者も増加
そこで、買い手を意識した売り場づくりに向けて、販売スタッフらは昨年5月、九州の物産を取り扱うアンテナショップ「うなぎの寝床」(八女市)を視察。陳列方法に関する勉強会を開き、商品を全て並べるのではなく、棚などを使って見栄えをよくすることや、ポップの設置が効果的なことを学んだ。マルシェの名称についても、筑後弁で「仲間に入れて」を意味する「かてて」に改めた。
昨年8月と12月には、スタッフではなく、出品者に直接販売してもらう形式のマルシェを大刀洗ドリームセンターで開催。計約900人が来場し、計約140万円を売り上げた。今年度も2回、同様のマルシェを計画している。
当初は10人に満たなかった出品者は現在、100人を超えた。町民の要望を受け、4月からは同センターで毎月第3水曜日にマルシェを定期開催している。
担当する町地域振興課の嶋田美月さんは「町民の新たな収入源にもなっている。かてての魅力を高め、町の一大イベントにしていきたい」と話している。