【大分】魅力アピール!日田の木材で商工会館を建て替え

 大分県日田市の日田商工会議所は、老朽化した日田商工会館を同市三本松2の現地で建て替える。新会館は日田杉に代表される林業・木材産業の街にふさわしい木造にする考えだ。設計は公開プレゼンテーションの結果を踏まえ、屋久杉で知られる鹿児島県屋久島町の庁舎などを手がけたアルセッド建築研究所(東京)に委託する。2027年度中の完成を目指している。

2028年春の完成目指す


アルセッド建築研究所が提案した新商工会館(外観)のイメージ図


 現会館は鉄筋コンクリート造り4階建て、延べ床面積1564平方メートル。完成から60年がたち、耐震性などに問題があるため建て替える。


 設計業者の選定にあたっては、地元産材の活用に加え、延べ床面積750平方メートル以下、想定事業費2億円程度などの条件を設定。全国から44社の応募があり、書類審査を通過した5社が6月17日の公開プレゼンテーションに臨んだ。

「日田ひろば」でコンサートも

 最優秀提案者に選ばれたアルセッド建築研究所の案によると、新会館は木造2階建て。通りに面した側から順に〈1〉展示会やコンサートなどの会場にもなる「日田ひろば」〈2〉受付のほか、各種情報発信の拠点となる「インフォギャラリー」〈3〉「オフィス」――の3ゾーンを配置する。

 地元産材をふんだんに使った吹き抜けの日田ひろばは「日田の木の魅力を伝えるショールーム」を兼ね、通りから中の様子がうかがえるようにする。水害が多い地域性に配慮して、全体を1メートル程度かさ上げする。


「開かれた商工会議所」を象徴する「日田ひろば」


 日田商議所によると、木造の商工会館は全国でもほとんど例がなく、埼玉県の飯能商議所が知られている程度。日田商議所は26年度中をめどに基本・実施設計を終え、28年春の完成を目指す。


「見せる」建築で需要拡大へ

 「建築雑誌の表紙を飾れるくらいのものを造りたい」――。日田商工会議所の瀬戸亨一郎会頭(日田木材協同組合理事長)は、新商工会館建設にかける思いをこう語る。「木造建築は進歩している。建設の過程を『見せる』ことで旧来の古くさいといったイメージを払拭(ふっしょく)し、地元産材の需要拡大につなげたい」

 政府が今月閣議決定した「2025年度森林・林業白書」によると、全国で25年に着工した建築物の木造率(床面積ベース)は47.1%。用途別・階層別にみると1~3階建ての低層住宅は80%を超えるものの、商工会館のようなオフィスや商業施設などの非住宅・中高層建築物は6.6%にとどまる。

 人口が減って新設住宅着工戸数も減る傾向が続くとみられる中、林業・木材産業にとって非住宅・中高層建築物の木造・木質化は差し迫った課題だ。

 日田商議所が今回実施した公開プレゼンテーションは「見せる」ための仕掛けの一つ。「全国トップレベル」(瀬戸会頭)の業者がアイデアを競い、オンラインを含めると約150人が観覧・視聴した。商議所には、大分大など六つの大学から「(教材として)講義に使いたい」と申し出があり、了承したという。瀬戸会頭は「今後も節目ごとに見学会を開くなどして木造建築の良さをアピールしたい」と話している。


advertisement