【鹿児島】地元屋台を観光資源に!福岡をモデルに第一歩

 鹿児島市中心部を流れる甲突(こうつき)川沿いに並ぶ屋台が盛況だ。地元の食で地域を盛り上げようと、2025年5月に県内の飲食店主らでつくる組合が始め、1年間で延べ約3万9000人が訪れた。関係者は「屋台を新たな観光スポットにしたい」と意気込んでいる。


甲突川沿いに並ぶ屋台


店を自作!


 出店のきっかけは、鹿児島市内で焼き肉店などを営む川尻強人(つよと)さん(42)が、福岡の屋台のように街の魅力や食を体験できる場をつくりたいと思ったことだった。24年に飲食店主らでつくる「かごしまリヤカー屋台組合」を設立した。

 組合のメンバーは福岡の屋台でサイズを測り、リヤカーを土台に木材で店を自作する際の参考とした。福岡と違って屋台専用の上下水道が整備されていないため、トレーや紙コップを使って洗い物を出さないようにしたり、観光客向けに県の特産品を使ったメニューを考案したりすることを学んだという。

 アドバイスした姶良市出身で、福岡市・天神で営業する「博多でかごっま屋台 酔っきー」の店主・山之内頼文(よしゆき)さん(50)は「福岡では個性豊かな店が増えている。鹿児島も福岡のような観光資源になってほしい」と期待する。

 屋台が並ぶ都市公園「甲突川左岸緑地」は、JR鹿児島中央駅から徒歩10分ほどで、繁華街・天文館との間にある。周辺には西郷隆盛生誕の地や大久保利通の像のほか、「維新ふるさと館」など幕末の歴史を伝えるスポットが集まる。春には桜が咲き、花見客でにぎわう。

外国人客も


来店客でにぎわう屋台


 同組合は25年4月、鹿児島市に公園での営業を提案し、実証実験として25年5月から26年3月まで、毎月約10日間の出店が認められた。川沿いに5台の屋台を並べて営業を始めると、周辺住民や観光客に人気となり、屋台で楽しんだ後に天文館の飲食店にはしごする人も見られた。韓国や台湾、欧米などの外国人も来店したという。


 ある週末の夜に公園を訪れると、川沿いには赤い提灯に照らされた屋台が軒を連ねていた。鹿屋市の食材を使い、キビナゴの一夜干しや芋焼酎などを提供する「鹿屋ちっく」では、カウンターを囲んで、飲食や店主らとの会話を楽しむ客の姿があった。店主の岩元大樹さん(26)は「お客さん同士の交流も生まれ、いい雰囲気だ」と笑顔を見せた。

営業日拡大

 市は、組合の取り組みを「一定のにぎわいにつながった」と評価する。26年度、夜の観光につなげることなどを目的にイベントを開く事業者を公募し、同組合が選ばれた。

 組合は4月から、営業日を月約20日に拡大した。客からの要望もあり、営業時間を7~10月は午後4時~10時30分と1時間延長。店舗数も増やし、7月10日からは8店が並ぶ。

 広報担当の上園優貴さん(41)は「営業の期間や時間が延び、事業計画も立てやすくなった」とさらなる屋台の参入に期待を寄せる。



歴史を紹介


 店主らは郷土史家から学んだ地域の歴史を客に紹介するなど鹿児島ならではの魅力を伝えようと工夫を凝らす。27年の西郷の没後150年、28年の生誕200年に合わせ、メニューの開発やイベントの実施を検討中だ。

 組合が目指すのは屋台の「常設化」だ。一方、鹿児島市は27年度以降も公募を続けるかは未定としており、川尻さんは「実績を積み重ね、鹿児島に屋台がある風景が当たり前になるよう取り組んでいきたい」と意気込む。


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