【鹿児島】鹿児島市役所の顔・薩摩焼レリーフを修復へ
鹿児島市は、市役所本館の正面玄関に設置されている薩摩焼のレリーフを修復する。設置から85年以上が過ぎて劣化や欠損が目立っていた。2025年3月までの完了を目指しており、市は「後世に引き継いでいけるよう修復したい」としている。
正面玄関 設置から85年以上
レリーフは直径約80センチ。本館玄関の正面に4枚、側面に各2枚ずつの計8枚あり、表面には西洋風の杯や植物のようなものがあしらわれている。
薩摩焼の窯元「本窯長太郎焼窯元」の初代・有山長太郎(1871~1940年)の作品で、1937年に市役所本館が完成した際に設置。市の建築記念誌には、「車寄(玄関部分)彫刻ハ本縣(けん)産長太郎焼」と記載されている。
2022年度に行った外壁調査で、8枚全てにひび割れなどの欠損や劣化が見つかった。市は落下の危険性は無いと判断したが、市役所本館が国の登録有形文化財に指定されていることもあり、早期に修復する必要があった。
25年3月完了を目指す
市は24年度予算に約500万円を計上しており、文化財を扱う専門業者に修復を依頼する。作者の孫で、4代目窯元の長佑さん(鹿児島市下福元町)に助言をもらいながら修復を行う。長佑さんは「初代の作品を後世に残す手伝いができることになり、うれしい」と話す。
市管財課の井立田訓(さとる)課長は「太平洋戦争中の空襲も乗りこえて、受け継がれてきた貴重な文化財。可能な限り手を加えずに保存できる修復方法を探したい」としている。