【長崎】文永の役から750年 元寇全国ネットが始動! 

 鎌倉時代の最初の元寇(げんこう)・文永の役(1274年)から750年の節目に、長崎県松浦市など元寇と関わりのある自治体が「元寇所縁(ゆかり)のネットワーク」を発足させた。九州、関東の7県から25自治体が加入。史料を互いに貸し出すなどして連携し、「神風」の陰に隠れがちな武士の活躍などに光を当てたい考えだ。

元寇
 モンゴル帝国(元)による日本への侵攻。文永の役では900隻(2万数千人)で来襲し、撤退の途中で暴風に見舞われたという説などがある。弘安の役(1281年)では約4400隻(約14万人)が攻め寄せ、松浦市・鷹島沖で暴風に遭って壊滅したとされる。

松浦市など25自治体


「元寇所縁のネットワーク」の発足式に参加した首長ら

 「鎌倉武士の活躍を、ゆかりのある自治体が改めて見つめ直し、掘り起こして発信し、国民に共感を持ってもらう機会にしたい」

 4月22日に福岡市西区で開かれた発足式で、ネットワーク会長の友田吉泰・松浦市長は力強くあいさつした。

 松浦市は、元寇船が確認された鷹島海底遺跡を抱える。元寇船は「神風」と呼ばれる暴風によって壊滅したとされるが、友田市長は「各地から駆けつけた武士が勇敢に防戦したために、元軍が苦戦を強いられ、暴風雨に見舞われたともいえる」とし、武士の活躍を伝えようと思い立った。


「元寇所縁のネットワーク」加入自治体


 市は2022年から九州北部で防戦、防備に尽力した武士について調査。出身地や領地などがある自治体にネットワーク設立を呼びかけた。鎌倉幕府が置かれた神奈川県鎌倉市や元寇防塁(国指定史跡)のある福岡市西区など、神奈川、千葉、福岡、佐賀、熊本、長崎、宮崎7県の25自治体が参加を決めた。長崎県内からは松浦市、対馬市、壱岐市、平戸市、新上五島町の5市町が名を連ねた。

史料相互貸し出し 交流宣言も

 発足式では、出席した24自治体の首長らが今後の事業計画について協議。史料を互いに貸し出して企画展などを開くほか、「元寇子どもサミット」の開催や史実の漫画化などに取り組む方針を確認した。

 交流宣言も採択し、「鎌倉武士の活躍がなければ、日本の歴史が変わっていたかもしれません。蒙古襲来から国を守った地域の先人の活躍を国内外にPRし、地域活性化につなげていく」といった文言が盛り込まれた。

 九州大の佐伯弘次名誉教授は、「モンゴル襲来と鎌倉武士たち」と題して講演。佐伯名誉教授は当時の絵巻「蒙古襲来絵詞(えことば)」について、「絵と言葉が全部は残ってなく、破損もあって、順番がばらばら。どう読むかが今、まさに焦点になっている」と解説。炸裂(さくれつ)弾「てつはう」と複数の蒙古兵が描かれた場面については、「蒙古兵の服装が異なっており、後で描き加えたのではないか、という説が有力になっている」などと紹介した。


advertisement