【佐賀】養殖アカウニを初出荷! 唐津市の屋形石漁協

 佐賀県唐津市の景勝地「七ツ釜」近くの海域を漁場とする屋形石漁協(平田芳弘組合長)は今夏、養殖したアカウニの出荷を始めた。商品名は「屋形石紅(あか)うに」で、同漁協は「天然ものと差がないウニに育てられた」とアピールしている。

 天然もののアカウニは希少性と濃厚なうまみで知られる「夏の高級食材」で、これまで素潜りで採っていたが、海況の変化で近年は漁獲量が落ちていた。

天然もの減少に危機感

 屋形石漁協の正組合員は26人と小規模で、ウニやアワビ、サザエの素潜り漁や定置網漁業に従事している。アカウニの身入りがこの数年、特に悪くなったことに組合員が危機感を抱き、若手や中堅の組合員8人で部会を組織して2022年から養殖に着手。様々な方法を試した結果、外洋でつるしたかごの中でウニの種苗を育てる方法に行き着き、約1年4か月で出荷にこぎ着けた。


「屋形石紅うに」を試食する人たち


 天然ものの味と色合いに身を近づけるため餌にこだわり、アスパラガスなどの野菜だけでなく、コンブやメカブといった海藻を出荷の約3か月前から集中的に与えた。メカブは組合員が収穫。コンブは唐津市の調味料メーカー「宮島醤油(しょうゆ)」が製造するだしの残滓(ざんし)やうどんチェーン店の廃棄物を譲り受けた。餌は3日ごとに組合員が交代で船に乗り、与え続けた。


 養殖のアカウニは、塩水だけを詰めたパックで製品化。長期保存のために使うミョウバンを加えなかったため、従来品より日持ちせず、遠方まで運ぶのが難しい。漁協は「県外からわざわざ食べに来てもらえるクオリティー」として、主な取引先を唐津市内の飲食店や旅館・ホテルと想定している。8月6日に市内で開いた試食会では、「天然ものと同様な身の厚みがあり、甘みがしっかりとして、雑味がない」と料理人らからも好評だった。

 部会長の坂本弘さんは「北海道のアカウニに負けない味を出せている。舌の肥えた人たちに選んでもらえるウニを提供し、小さな漁協でも生き残りたい」と意気込む。

 「屋形石紅うに」は50グラム、100グラムのパックを用意。9月末頃まで出荷し、なくなり次第終了。個人でも屋形石漁協に電話で注文できる。100グラムで1万2000円(税別)。問い合わせは同漁協(0955-79-0760)へ。


advertisement