【山口】長門出身・大津あきらの生家を彩るボードが登場
昭和歌謡の名曲を世に送り出した山口県長門市仙崎出身の作詞家・大津あきら(1950~97年)の生家の通りに面した壁に9月、大津の写真や直筆原稿などを掲載したボード5枚がお目見えした。地元有志による街中を壁画アートで彩る活動の第1弾で、空き家が目立つ通りのにぎわい創出に一役買っている。
大津の生家は、童謡詩人・金子みすゞの出身地でもある仙崎の「みすゞ通り」に面した木造2階の住宅。現在は空き家になっており、地元でも知る人は少なくなっていた。
ボードはいずれも縦90センチ、横50センチ。地元有志13人でつくる「仙崎アート観光推進協議会」が市の補助金などを活用して取り付けた。大津の写真を始め、プロフィル、主要作品の一覧、大津と交流のあった歌手の高橋真梨子さんが没後10年に寄せた「大きなからだなのに こどものような人だった大津さん」などとしたためた色紙(コピー)などを掲げている。
直筆原稿(同)は大津の代表作の一つで、第15回日本作詩大賞大衆賞を受賞した中村雅俊さんの「心の色」(1981年)。最初の曲名が青春時代に挫折を味わった自身を指す「黄色いカラス」とされていたことがうかがえる。
また、生家の側面には、市や市教育委員会が2024年3月に発行した漫画「青春の作詞家 大津あきら」の表紙を飾った大津の絵をデザインした壁画も描いた。
協議会は仙崎地区の空き家や倉庫の壁などをキャンバスに見立て、大津だけでなく、かつて仙崎が栄えた頃の古式捕鯨、昭和の食文化などを題材にした壁画アートを増やしていく計画。協議会事務局長の伊藤正典さん(75)は「仙崎のまちを壁画アートで彩り、観光客らを呼び込みたい」と話している。