【長崎】「夕焼けサーモン」出荷へ着々 雲仙の水産会社

 長崎市や長崎県雲仙市にまたがる橘湾の赤潮被害を受けて、同市の水産会社「天洋丸」(竹下千代太社長)が2024年から養殖を始めたトラウトサーモンの出荷が4月に始まる。身のオレンジ色と、夕日の名所で育てたことからブランド名は「橘湾夕焼けサーモン」。今年も24年と同じ3000匹を養殖している。

 天洋丸の養殖はサバが中心だったが、23年の赤潮被害を受け、県内では先例がなかったサーモン養殖に着目した。冬から春にかけての養殖で、例年赤潮が発生する梅雨時期を避けて出荷できるメリットがある。

 試行錯誤で始めた24年は、出荷前に死んでしまう魚もあり、出荷数は2000匹弱にとどまったが、経験をいかした今年は、どの魚もよく餌を食べて成長しているという。養殖事業を担当する牧島一仁さん(38)は「養殖の適温は11~16度。これから成長に適した水温になる。しっかり育ってくれるはず」と期待する。


㊧サーモンのいけすを見学する参加者㊨養殖したサーモンを手にする牧島さん


 24年は市内の海産物店や旅館などに出荷したが、今年は県内で展開するスーパーとも話を進めているという。市内の海産物店「宅島海産」の宅島由美子さん(49)は「昨年は、魚の味にうるさい地元の人にも好評で、奪い合いになるほど人気だった。多くの人にこの味を知ってほしい」と望む。

 3月12日には、流通、観光、報道関係者を招いた見学会を開いた。竹下社長は「全国に100ものご当地サーモンがあるが、地元中心の販売で、大手とも競ってブランドを確立させ、観光資源にもしたい」としている。


advertisement