【長崎】戦後の団地を交流施設に 宿泊施設や書店が入居

 国内に現存する最古の鉄筋コンクリート製公営住宅の一つ「旧魚の町団地」(長崎市魚の町)が改修され、新たな交流施設「魚(うお)ん町+(プラス)」として再出発した。新たなまちづくりの拠点として期待される。

「魚ん町+」で再出発!


魚ん町+となった旧魚の町団地


 外壁の上部に「魚の町」と大きく書かれた建物。昭和を思わせる古い外観とは異なり、部屋の一部は真新しい宿泊施設や書店などに生まれ変わった。運営する「ココトト合同会社」の共同代表、伊東優さん(38)は4月6日のお披露目式で、「入居者の皆さんと一緒に、ここから長崎を盛り上げていきたい」と語った。

 1949年に建設された4階建ての長崎県営住宅(24戸)。敗戦後の住宅不足に対応するため建設され、同型の団地は全国に約1700戸建った。現存するのは旧魚の町団地を含め5棟のみという。老朽化のため県は解体を検討したが、専門家らが団地の工法や文化的価値などに注目し、保存・活用されることになった。


コワーキングスペースとして生まれ変わった一室で、事業への思いを語る伊藤さん

 2024年に行われた公募での審査を経て、伊東さんらが県に有償で借り受けて事業者となった。活用方法を探るワークショップを計3回開催し、市民からの声も踏まえ、交流施設として整備することにした。

「長崎の魅力を引き継ぐ」


書店「いっぽのたね」を開業した浦川さん

 長崎市の助産師、浦川慶子さん(42)は、魚ん町+の一室で助産院と書店を開業した。書店は木造の骨組みを生かし、壁一面に本棚を設置。絵本など多くの書籍を並べて、温かみのある空間にした。浦川さんは「古さと新しさが合わさったところが気に入っている。ここでどんな出会いがあるのか楽しみ」と話す。

 1~2階の10部屋が入居希望者に貸し出され、現在は4室が埋まっている。3、4階は当時のままの状態で保存されている。伊東さんは「故郷・長崎のこれからのため、人々が集うこの場所を持続させ、歴史という長崎の魅力をずっと引き継いでいきたい」と意気込んでいる。


魚ん町+に開業予定の昭和レトロを感じる宿泊施設

 問い合わせはココトト合同会社のメールへ。


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