【佐賀】街を舞台に謎解き 多久市で没入型観光イベント

 街を舞台とし、参加者が役を演じながら物語に入り込む「イマーシブ(没入)」型の観光体験イベントが10月から佐賀県多久市で開催される。参加者は市内の旅館に宿泊し、謎を解きながら物語を進める。県内では初めての取り組みで、市は「多久を好きになり、宿泊客を増やすきっかけにしたい」としている。

物語の登場人物に
「七不思議」を調査

 同イベント「メグリ様の言うとおり」は、市と観光関連会社「イマーシブ・ラボ」(東京)が企画した。参加者は6人1組でJR多久駅近くの老舗「富亀和(ときわ)旅館」を貸し切って宿泊。ネットのオカルト掲示板で知り合った仲間と多久市に伝わる「七不思議」を調査するという物語を、登場人物となって体験し、それぞれにセリフも与えられる。参加者の行動によって物語の結末が変わることもあるという。

 市内に点在するウォールアートが謎を解くための手がかりとなっているほか、旅館の近隣の飲食店とも連携しており、同社の細川哲星社長は「参加者が街を回る仕掛けを講じている」と説明する。

 市内には3か所の宿泊施設があるが、県によると、2024年の同市への来訪者(日本人)は延べ58万7000人で、うち宿泊した人は2%にとどまる。佐賀市に近いため日帰り客が多いことや、夜の観光資源が少ないことなどが背景にあるとみられる。

 舞台となる富亀和旅館を経営する富永邦久さん(78)は「コロナ以降は宿泊が減り、厳しい状況が続いている。築100年を超える旅館の独特な雰囲気に魅力を感じ、足を運んでくれる若者が増えるきっかけになれば」と話す。

 同社では、全国の自治体と連携して同様の取り組みを実施している。2025年からは人口約500人の山梨県丹波山村で、地元に伝わるオオカミの伝承を題材にした物語に沿ってイマーシブ観光を展開。これまでに人口を上回る計約900人が訪れたという。


多久市のイマーシブ型の観光体験イベントで、物語の配役について確認するテストプレイの参加者


 イベントは、国の特別交付税措置を活用しており、市は事業費約600万円を見込む。香月正則市長は9月3日の発表記者会見で、「不思議で心躍る体験だ。一度訪れて終わる観光ではなく、また訪れたいと思ってほしい」と参加を呼びかけた。同日には本番に向けたテストプレイも行われた。


 6人グループでの参加が必須で、18歳以上推奨。2027年3月まで計17回行い、それ以降もイベントの継続を検討している。参加費は1泊夕食付きで1人2万9800円(税込み)。予約サイトから申し込む。問い合わせは、同市商工観光課(0952-75-2127)へ。


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