【山口】萩にある映画館を舞台にした自主制作映画が完成

 昭和の薫り漂う山口県萩市の映画館「萩ツインシネマ」を舞台にした自主制作映画「さよなら萩ツインシネマ」(榊祐人監督、1時間32分)が完成し、同館で上映されている。実際の支配人・柴田寿美子さん(52)が主人公の支配人を演じるコメディータッチの物語。柴田さんは「映画を通じて、少しでも映画館を好きになってほしい」と来館を呼びかけている。

本物の支配人が支配人を熱演

 物語は、10年目の映画祭を最後に客入りの少ないツインシネマの経営をやめようとする支配人が、作品を出品する映画監督や、地元の神父との交流を経て映画の魅力を再確認する姿を描いた。


神父役の升毅さん(左)と共演する柴田さん(萩ツインシネマ提供)

 映画監督役を若手俳優の河野宏紀さん、神父役を升毅さんが演じた。昨年11月、市内の商店街や漁港などで2週間かけて撮影し、市民ら約100人も出演。制作費の約800万円は、文化庁の補助金で大半を賄った。

 劇中の支配人は、ユーチューブで映画館をPRし、経営の足しにとスナック経営の副業にも手を出すが、うまくいかない。実際のツインシネマも厳しい台所事情は同様だ。

 運営する地元NPO法人「萩コミュニティシネマ」で2015年から支配人を務める柴田さんは、魅力的な映画の上映はもちろん、昭和レトロな雰囲気を演出するなど集客に知恵を絞ってきた。「経営を軌道に乗せようと、地道に、歯を食いしばってやってきたのは私も同じ」と主人公に自分を重ねる。


映画のチラシを手に作品をPRする柴田さん


 昨年上映した萩市が舞台の映画「ハッピーバースデイ」に続き、柴田さんがプロデューサーも務めた。「映画制作は、映画館に人を呼ぶ方法の一つ。機会があればまた挑戦したい」と話している。


 上映は6月30日まで。料金は一般1200円、4歳~大学生800円など。問い合わせは萩ツインシネマ(0838-21-5510)へ。


advertisement