紅葉の名所として知られる福岡県広川町久泉のイチョウ並木「太原(たいばる)のイチョウ」が、11月15日から一般公開される。私有地のため、毎年、紅葉シーズン限定で開放しているが、来場者の増加で木が根腐れを起こすなどの影響が出ており、町観光協会は見学用の通路を設けて立ち入りできるエリアを制限する。
見学エリアを設定
33アールの敷地に約80本のイチョウがあり、毎年秋になると黄金色の世界が広がる。昨年は期間中に約7万5000人が訪れた。
土地を所有する同町の農家、丸山修二さん(69)によると、イチョウ並木がある場所は元々、ブドウ畑だった。丸山さんの父・元運(もとゆき)さん(2020年に91歳で死去)が、妻スナエさんと一緒にブドウを栽培していた。
元運さんは、秋になるとよく夫婦で紅葉を見に出かけていたといい、約20年前にスナエさんが病気で亡くなった際、一部のブドウの木を切り、約80本のイチョウを植えた。丸山さんは約10年前から元運さんに代わって肥料を与えたり、草刈りや枝の剪定(せんてい)をしたりして世話を続けてきた。
丸山さんは「イチョウを見た人から『きれい』という声を聞くと、これまで頑張ってきて良かったと思える。父も喜んでいると思う」と話す。
大きく育ったイチョウ並木は新聞で紹介されたことがきっかけで、訪れる人が急増。丸山さんの了解を得て、町観光協会が7、8年前から紅葉シーズンの一般公開を始めた。隣接する空き地を借りて駐車場にしていたが、渋滞が発生するようになったため、3年前からは近くの球場や工業団地の駐車場を開放してもらっている。
敷地内は見学用の通路を設けず、自由に歩けるようにしていたが、来場者の増加で地面が踏み固められた影響などで、一部の木の根が傷んだり、腐ったりして葉が付かなくなった。そのため、町観光協会は今年10月、倒木の恐れがある6本を伐採。さらにロープを張って見学用の通路を設け、立ち入りできるエリアを制限することにした。
一般公開は24日までで、午前9時~午後5時。16、17、23、24日は、近くの農機具会社「オーレック」から無料のシャトルバスを運行する。問い合わせは町観光協会(0943-32-5555)へ。