【宮崎】延岡のブリ御殿「日高家住宅」が国重要文化財に

赤水湾に浮かぶようにたたずむ「日高家住宅」(写真はいずれも延岡市教委提供)


 宮崎県延岡市赤水町の「日高家住宅」が、国の重要文化財に指定される見通しとなった。明治~大正期にブリ漁で財を成した日高亀市(1845~1917年)の邸宅で、地元では「ブリ御殿」と呼ばれている。6月23日に開かれた文化審議会で「眺望に優れた上質な住宅」として文部科学相に答申された。

水産業の活気を伝える”27LDK”

 亀市はブリ漁の網元で、1891年(明治24年)に「日高式大敷網」を発明したことで知られる。市によると、邸宅は木造2階建て(延べ床面積約772平方メートル)の近代和風建築で、87年(明治20年)頃に水揚場のために海岸を埋め立てて造成し、大正初期にかけて増改築を繰り返して現在の主屋を整備した。

 赤水湾に浮かぶようにして立ち、格式高い座敷飾りが特徴的な20畳の大広間、穏やかな海やその先に広がる山々を望む奥座敷のほか、大きなかまどが今も残る台所などがあり、当時の水産業の活気を今に伝えている。


20畳の大広間


 現在は亀市の玄孫(やしゃご)で6代目当主の日高保彦さん(66)の家族の居宅としても使われ、間取りは今で言う「27LDK」(保彦さん)という。邸宅では料亭も営まれている。


水揚げされたブリを燻製に加工していた燻製室


 今回は、邸宅に隣接し、水揚げされたブリを燻製(くんせい)に加工するためのレンガ造りの「燻製室」と、石垣の護岸で造成された敷地約3450平方メートルも合わせて答申された。


 保彦さんは「多くの人に家を見てもらうことで地元の歴史を知り、郷土に誇りを持ってもらえたら」と話した。市は今後、小中学校による見学会を積極的に行うなど、子どもたちの郷土学習にも活用していくという。


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