親の「がん」子どもにどう伝える? 3月9日にイベント

2025.03.05

 親ががんになった時、幼い子どもにどう伝えるべきか――。子育て世代のがん患者が、親子で病気の情報を共有し、前向きに治療に取り組んでもらおうと、九州がんセンター(福岡市南区)の医師らが支援チームを結成した。3月9日に福岡市で親子向けのイベントを初めて開く。関係者は「子どもも親と一緒に治療と向き合っていくことが大事。年齢に応じた伝え方を学んでほしい」と呼びかけている。

九州がんセンター医師らが支援チーム


イベントへの参加を呼びかける田尻さん(左)と白石さん

 企画したのは、「子育て世代がん患者さん応援プロジェクトin九州」(仮称)。メンバーは、同センターの乳腺科医師、田尻和歌子さん(43)、臨床心理士白石恵子さん(47)や、久留米大学病院(久留米市)、相良病院(鹿児島市)の看護師ら計7人。若年世代のがんについて啓発する週間「AYA WEEK」(3月8~16日)に合わせて開くことにした。

 乳がん患者を診療する田尻さんは、子どもに詳しい病状を明かせず悩む母親や、病気のことが理解できないまま、母親の病状が進んでいくことに不安を募らせる子どもを多く見てきた。

 数年前、担当した女性患者(40歳代)は、小学校高学年と乳児の2人を育てていた。女性が自身の治療に加えて、乳児の世話に追われる中、上の子どもが孤独を感じていることが伝わってきた。スクールカウンセラーを紹介するなどしたが、学校に通えなくなってしまった。

 この時の経験が心に残った。その後の診察では、子どもにも同席してもらうようにし、病状を分かりやすく説明するように心がけた。病気について共有できた母親たちが、前向きに治療に取り組めるようになっていく姿を見て、「診断時点から子どもも一緒に闘病過程に巻き込む必要性を感じた」と振り返る。

 イベントは、9日午後1時半から、福岡市中央区のTT天神南ビル。がん患者と主に小学生の子どもが対象で、医療従事者も参加できる。田尻さんは「子どもはきちんと理解できる力を持っている。親子で一緒に病気を乗り越えていく大切さを伝えたい」と話す。

 現地参加(20組、参加費1500円)のほか、大人のみウェブ(40人、500円)でも参加可。7日までに、ウェブサイトから申し込む。問い合わせはメールで。


advertisement

この記事をシェアする